佐野元春&雪村いづみ『トーキョー・シック』

およそ一年まえに実現した夢のコラボレーションが遂にパッケ
ージCDとなった。佐野元春と雪村いづみの今回の共演には世代
を超えて歌を慈しむような気持ちが溢れている。前田憲男ビッ
グ・バンドによるモダンでジャジーな演奏は勿論、息がぴたり
と合った佐野と雪村の歌唱が素晴らしい。雪村にとってロック
世代との邂逅は70年代の『スーパー・ゼネレーション』以来で
はないだろうか。

今の時代、明るくあろうという心映えを保つのはとても難しい。
シニシズムという暗雲が立ち込め、毎日は気持ちが塞ぐばかり。
この『トーキョー・シック』は人々を邪心のない日々へと連れ
戻す。目に触れるもの、耳を傾けることのひとつひとつが新鮮
だった頃へと誘う。エクスキューズという足枷を自ら嵌めてし
まったのは一体いつの頃からだったろう。

何でも表題曲「トーキョー・シック」はファースト・テイクが
採用されたそうだ。ミュージシャンとは初見だったにもかかわ
らずである。そんな生々しくダイレクトな空気もこの音楽はし
っかりと映し出す。こればかりはプロトゥールで再現したり、
ピッチで補正出来たりするものではないはず。

歌詞そのものはごくシンプルだが、そこには街に集まってくる
人々のざわめきや予感が満ち、リリックに描かれなかった背景
のなかで男たちが語り合い、女たちが蠢いているといった印象
だ。削ぎ落した歌詞の含みとはそういうもの。さあ、街に出掛
けよう!

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by obinborn | 2014-02-12 13:55 | one day i walk | Comments(2)  

Commented by caorena at 2014-02-22 22:56
小尾さん、こんばんは。

実は私、配信でのトーキョーシックを聴いたとき、なんだかピンとこなかったんです。
ビルボードライブで元春の歌うトーキョーシックを聴いたときにはすごくいいなと思ったのに。
でも、CDを手にして聴いてみたら、なんだかスッと受け入れることができたんです。
(その他いろいろ、私も感想をブログに書いたので、よろしかったら→http://caorena.exblog.jp/20373644/)

とにかく、ライブ感が素晴らしいな、と思ったら、ほんとにライブ形式で(いわゆる一発録り、っていうのですかね)のレコードだということで、納得しました。

元春はまだまだ新しい何かを見せてくれそうで、期待が膨らみます。
Commented by obinborn at 2014-02-23 08:11
ライヴ録音しかもタイトル曲はファースト・テイクの採用!
そんな臨場感が素晴らしいですね!

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