佐野元春「荒地の何処かで」
皮膚の隅々にまで染み渡る歌とはどういう種類のものだろう
時々そんなことを考える
言葉で時事を説明すればいいというものではない
抵抗や判事を装ってみても 取って付けた態度はすぐ剥がれる
もっと強度のあるリリックが欲しい 長く続く線路のような
21世紀になってからの佐野元春を聞いていると
歌詞を削ぎ落したぶん 聞き手に想像の余地を残す作風に驚か
される まるで歌が自分の影絵となっていく感覚だろうか
磨き抜かれた言葉たちがラウドなロックと鮮やかに合致する
日誌のように書き留められたリリックと強靭なビートとが激
しく唸りを上げながら 気高く舞い上がっていく
3月始めの夜は寒く 生まれたばかりの言葉たちもまだ幼い
そんななか ぼくは佐野元春の「荒地の何処かで」を聞いた
by obinborn | 2014-03-12 07:09 | rock'n roll | Comments(0)