4月18日のホンク
なると寂しくなる。多かれ少なかれ誰にもそうした気持ちを抱か せるような隣人がいると思う。東京ローカル・ホンクはさしずめ
そんなバンドだとぼくは思う。彼らの音楽は経験と鍛錬に裏付け
られたクォリティを持ってはいるが、けっして精緻な地図をなぞ
るようなものではない。多少のでこぼこがあったほうが人として
遥かに魅力的なのと同じように、ホンクもそうした粗めの演奏を
剥き出しにする時がある。とくに生まれたての曲に関しては。
18日に高円寺のJIROKICHIで行われた彼らのワンマン・ライヴを
そんな風に聞いた。歌われた2つの新曲はまさに産声を上げたば
かりであり、行く先々の道が保険に入っているわけではないが、
木下弦二というソングライターが毎日の暮らしのなかで混沌とし
ながらも考えていることが伝わってくる。日本語の綺麗な響きを
大事にしている弦ちゃんからGod Has No Nameなんていう辛辣
な英語のリフレインを聞かされると本当にドキっとしてしまう。
ぼくは瞬間、ジョン・レノンのGodを思い起こしたほど。
それでもトータルな質感はむろん、いつものホンク・ワールド。
気取りのない言葉が響き渡り、自分の町の営みが思わず愛おし
くなるような音楽。それは新曲に照らし合わせれば、借り物や
模倣ではない彼ら自身のブルーズであり、ロックンロールであ
るのだと思う。それらは少なくとも雨の週末を満たしてくれた
し、帰り道を幸せな気持ちで包んだ。たとえ握った手や交わし
た言葉たちがいつか離ればなれになってしまうとしても。
by obinborn | 2014-04-19 00:30 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)