追悼:ジェリー・ゴフィン〜無邪気で他愛ない歌とゴフィン=キング。

ジェリー・ゴフィンが亡くなってしまった。そう、
キャロル・キングと夫妻でソングライター・コン
ビを組み、50~60年代に数多くのヒット曲を提供
した片割れだ。ゴフィンは作詞を手掛け、キング
がメロディを生み出したが、これだけ広範に親し
まれた二人組ソングライターはそう多くいるもの
ではない。

リトル・エヴァ「ロコモーション」シレルズ「ウ
ィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロウ?」マキシ
ン・ブラウン「ノット・マイ・ベイビー」クリケ
ッツ「プリーズ・ドント・エヴァ・チェンジ」ア
リーサ・フランクリン「ナチュラル・ウーマン」
など、ちょっと思い付くままに挙げていっても膨
大なヒット曲がある。その影響力はビートルズに
も及んだ。彼らが63年に『Please Pleease Me』
でレコーディング・デビューした際、A面の4曲
めにゴフィン=キングの「チェインズ」を収録し
たこと、渡米した際に表敬訪問したことなどが、
その偉大さを物語っている。クッキーズによって
歌われた「チェインズ」にはこんな歌詞が出てく
る。「目に見えない鎖に繋がれてしまった。愛と
いうチェインのことよ。アナタって素敵!キッス
したい!もう私は愛という鎖に繋がれてしまった
の!」

ゴフィンを巡るエピソードのなかでもとりわけ印
象深いのが、彼がボブ・ディランを聞いた時、あ
まりの衝撃に自分たちが作ったガール・ポップ用
のシングル盤をすべて叩き割ってしまったという
ものだ。高度な文学性と様々なメタファーに満ち、
多くのペルソナが登場するディランの作詞能力を
証明するような逸話であり、無邪気なティーン・
ポップばかりを手掛けていたゴフィンのショック
をいささか誇張して伝えたものだ。そんな彼はや
がてキングとのコンビを解消し、無骨な歌でマス
ル・ショールズの南部サウンドと触れ合っていく。
それがゴフィンにとって、人生の第二章となった。

無邪気で他愛ないラヴ・ソングに価値がないとは
けっして思わない。むしろそのシンプリティ故に
人は多くの感情を込めることが出来る。優れたポ
ップスとはそういう”気付き”に満ちているのだと
思う。そういえばシレルズの「ウィル・ユー・ラ
ヴ・ミー・トゥモロウ?」にはこんなリリックが
ある。「今夜あなたは私を完全なまでに愛してく
れた。でも明日になっても同じように好きでいて
くれるの?」

その余白には言葉にならない複雑さがあった。
作詞だけでも足りないし、作曲だけでも足りない。
その二つが互いを補完し合い、羽根を伸ばしつつ
本物のソングライティングが生まれる。ぼくにと
ってゴフィン=キングは、まさにそんなチームで
あり、一度も会ったことのないクラスメイトであ
り、ポップ音楽の魔法を信じさせてくれた隣人で
あった。ジェリー・ゴフィンの冥福を心よりお祈
り致します。

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by obinborn | 2014-06-20 18:05 | one day i walk | Comments(2)  

Commented by 安藤 at 2014-06-22 15:41 x
わたしのお気に入りは、モンキーズのプレザント・ヴァリー・サンデーです。シングル恋の合言葉のB 面で当時はあまり良く聞いてなかったけど、だんだんこちらの方が好きになり、この二人の作品だと知って納得!でした。モンキーズの中で一番好きな曲です。
Commented by obinborn at 2014-06-22 19:40
Plesant Valley Sunday、いい曲ですよね。ぼくも大好きです^ー^

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