為政者はまるでウィルスのようにきみを浸食する
為政者であるならば時に優しい顔をしたり、「大丈夫ですよ、
心配ないから」と言葉巧みに語り掛けながら大衆を欺くのだ。
きみはこの国でそんなことが起こったなんて信じられないのか
もしれないが、ウィルスがあっという間に感染していくように、
実際ぼくらが気が付いたその時ではもう手遅れなのだ」
とある哲学者はかつて上記のように語っていたけれど、これほ
ど苦々しい思いで7月を迎えたことはかつてなかった。仮想敵
を作り”日本人”というアイデンティティに感情的に訴えるより
も中国や韓国との外交努力を重ねるべきなのに、この国のリー
ダー(というのもおこがましいが)は、国民との合意も得ず、
他の閣僚や野党の意見に耳を貸すこともなく憲法を「解釈」に
よって強行突破した。集団的自衛権の肯定〜発動とはとどのつ
まり、専守防衛ではなく他国での戦争・国際紛争に積極的に関
与していくことに他ならない。当然ながらその報復としてテロ
リストの脅威に怯える「普通の国」になる。
むろん一国平和主義への批判はあるだろう。平たく言えばアメ
リカ兵の血は流れても良く、日本の自衛隊が前線に出ないのは
傲慢ではないか? という見解だ。ただ安倍首相の見取り図は
対外国との摩擦を不必要に煽るものだけに思えてならない。い
ろいろな歴史観はあるだろうが、靖国神社を参拝し「日本を取
り戻す」スローガンを掲げる彼の姿は、少なくとも私には随分
後ろ向きで懐古的なものに映る。
政治家の使命とは言わずもがな外交努力を重ねることであって、
ナショナリズムを感情的に煽動することではない。そのような
パースペクティヴがどのような不幸を招いてきたか。間違った
戦いがどれほどの悔恨を残したのか。戦後生まれの私にだって
解る。為政者はいつも優しい言葉と甘い言説で巧みに世論を誘
導する。もう遅いのかもしれないが、私が彼に屈服することは
ないだろう。もしフランク・ザッパが今も生きていたら、この
戯画的な世相をどう切り取るかな、などとふと思った。
by obinborn | 2014-07-02 18:23 | rock'n roll | Comments(2)