アーリントン墓地は今日も忙しい

グレアム・パーカーの「アーリントン墓地は忙しい〜Arlinton's
Busy」(2012年)は近年の私にとって最も心に響く曲である。
ワシントンD.Cすぐ近くのボトマック河を渡るとすぐに見えて
くるのがアーリントン墓地だが、そこには非業の死を遂げたU.
Sアーミーたちが数多く眠っている。グレアムはその土地を題材
に大いなる偏見と誤認に満ちたイラク・ウォーを告発している。
但し、彼はけっして自分を正義の側に置いているわけでも、特
定の誰か(ラムズフェルド長官の名前も最小限だ)に罪を被せ
ているわけでもない。そしてグレアムの歌は淡々とした歌いっ
ぷり故に染み渡っていく。私はある特定の誰かをテーマにし、
その彼をやりこめるような歌、あるいは自分は正義だと言わん
ばかりの歌は好きになれないのだが、この歌を聞いて心底グレ
アムのソングライティングの虜になった。

*      *      *

進んでいくことを元に戻すのは難しい
会話や歌のなかに少し聞き取れるだけ
けっして愉快なことじゃない
せめてスライスとコークを運んでおくれ
虚構であれ真実であれ 信じられないよ
兵士ジョニーは背中に穴を開けて帰郷した
裂け出すような痛みがもうすぐ始まる
真っ二つに裂け出すような痛みが

アーリントン墓地はいつも忙しい
誰もが気に留めない
今のところぼくらの問題ではないかもね
遥か彼方の知らない土地で 閃光が光る
アーリントン墓地はいつも忙しい
誰もが気に留めない

ぼくが眠っている間に誰かが銃で撃たれる
落とし穴にはまる猟犬みたいに
アフガニスタンの砂埃のなか 
歩兵隊が一列に行進する
もう感じる能力もないけど
この寒い北国の春で新しいコートが欲しい
今年はすごく厳しい気候だったよ

アーリントン墓地では誰もが忙しい
誰もが気を留めない
トゥーソンから双眼鏡で見上げると
散弾銃が舞っていくのが見えるよう
俺たちが息するたびに怯えたりはしなくとも

州境を残された時間のなかで
パキンスタンの前線を遊撃隊が撤退していく
第二歩兵隊が戦火のなかに突入する時
戦雲に包まれていく

ティルマン兵士が撃たれ まるで石ころのよ
うに忘れ去られた 彼らは姿をくらました
猟犬が骨を隠すみたいに
上級士官は認めたがらない 彼が撃たれても
ラムズフィールド長官も嘘を付いている
彼らは宣伝媒体をここぞとばかり使いまくり
正義より断然に偽造文書と銀バッジなんだ

アーリントン墓地では誰もが忙しい
ビジネスの如くみんなキビキビ動いている
ここでは無知が至上の喜びさ
たとえきみが気に留めたとしても
3万人以上の兵士たちが使い捨ての魂となり
「我々に自由を」と偽っている

アーリントン墓地はいつも忙しい
きっとこれからも

(グレアム・パーカーArlington's Busy)

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by obinborn | 2014-07-03 19:47 | rock'n roll | Comments(0)  

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