『黄金のメロディ〜マスル・ショールズ』を観て

『黄金のメロディ〜マスル・ショールズ』を観てきました!
このような音楽ドキュメント映画の場合、約100分の枠のな
かで長い歴史を振り返るのは大変だと思うけど、最後まで飽
きることなく、気持ちいい流れに身を委ねることが出来まし
た。軸となるのはリック・ホールの半生であり、不幸な生い
たちや度重なる悲劇を音楽プロデューサーとしての情熱へと
転化していくというもの。実際これほど呪われた運命に翻弄
されてしまうのかと思ってしまうくらいなのだが、それをち
ょっとした人生訓に彼は譬えてみせる。曰く「不完全な完全
を目指すのさ!」

リック・ホールのもうひとつの不幸はフェイム・スタジオで
優秀なミュージシャンを育てたにもかかわらず、常にアトラ
ンティックやチェス、キャピトルといった都市部のレコード
会社によって利用され略奪されたことだろうか。大都市とア
ラバマ州のド田舎との軋轢といった図式にもポピュラー音楽
の構造が見え隠れする。それでもマスル・ショールズという
未だ見ぬ土地にローリング・ストーンズやトラフィックがや
って来たのだから面白い。その目的とは当事者たちも説明し
切れない南部の匂いに他ならないのだろう。

「昔はロスやニューヨークでの仕事に憧れたものさ。でも、
ここ(マスル)は良い故郷さ。何しろ彼らのほうからこんな
ド田舎までわざわざレコーディングに来てくれるんだから!
」そんな風に語るデヴィッド・フッドにマスル・ショールズ
の秘密を垣間見る思いがする。

ソウル音楽の偏屈な純愛主義者には多く登場するロック・ア
ーテストや、フェイムから枝分かれしたマスル・ショールズ
・サウンド・スタジオに力点が置かれていることが不満なの
かもしれない。それでもアラバマ州にあるこの土地が人種の
壁を乗り越え、黒人と白人とが協調し合いながら優れた音楽
を作り出してきたのは紛れもない事実だ。音楽から友情が聞
こえてくる瞬間。それを聞き逃すべきではないだろう。これ
から全国各都市で公開されていく映画だけにネタバレは最小
限にしたいが、やはりウィルソン・ピケットとデュエイン・
オールマンが心を寄せ合って「ヘイ・ジュード」を歌い演奏
し始める場面に、筆者は胸が一杯になってしまった。

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by obinborn | 2014-07-17 06:02 | one day i walk | Comments(0)  

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