遠い声、遠い部屋

ーー東日本大震災の後、表現者と言われる人達はそれぞれ
様々な方法で活動していきましたね。ある者は直接的なプ
ロテスト・ソングを歌い、またある者は政治的なムーヴメ
ントへとコミットしていきました。しかしその一方で、比
喩的な表現のなかに思いを込めたアーティストたちもいま
す。佐野元春という音楽家は明らかに後者だとぼくは思っ
ていますが、どうでしょうか?

佐野元春:ぼくは幸運だと思います。長いことぼくの音楽
を聞いてきてくれた良きオーディエンスに恵まれているこ
とに感謝しています。たとえばぼくがどんなに素晴しい曲
を書いたとしても、その素晴しさを発見してくれるリスナ
ーたちがいなければ音楽は成り立ちません。ぼくが録音し
歌った歌を聞き、リスナーたちが何らかの価値を見出して
くれる。そこでまたぼくも、切磋琢磨しながら新しい歌を
届けていこうという気持ちになります。
そしてご質問にストレートに答えるならば、我々は表現者
ですから、当たり前の表現をするだけでは誰も聞いてくれ
なくなってしまう。みんながやっていることをただ歌うと
いうことであれば、より歌の上手い誰かさんの歌を聞けば
いいじゃないかという話になってしまいますよね。ぼくが
自分が書いた曲のなかでO.Kを出す曲は、どの曲もけっし
てストレートな表現にはなっていません。むしろ横や縦か
ら見たり、下や上から見たりすることで3D的なものになっ
ています。いろいろな立場にいる様々な人達がぼくの歌を
聞いてくれるわけですから、彼らがすっと身を寄せてくれ
る余地をぼくは残しておきたいんですね。

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by obinborn | 2014-08-03 18:09 | rock'n roll | Comments(0)  

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