マック、いつかまた会いましょう!

イアン・マクレガン&ザ・バンプ・バンドが『LIVE AT LUCKY
LAUNGE』に続いて素晴しいスタジオ新作を出してくれました。
最新ライブとスタジオ・アルバムの両方で「現在の俺らを感じ
てくれよ!」とでも言いたげな充実作2枚です。ともにルーズ
な横揺れのバンド・サウンドが何とも心地良いのですが、06年
の夏には愛妻のキム・マクレガンを交通事故で永遠に失ってし
まうという悲劇に見舞われています。そんなことを考え合わせ
ると、ここに収録された幾つかのバラードがより深く染み入っ
てきますし、英国に生まれた彼がいつしかアメリカに拠点を移
し、しかも当初バンプ・バンドが結成されたロスアンジェルス
から離れ、オースティンの土地にやっと安息を見出したことを
思えば、今回のアルバム・タイトル『UNITED STATES』が何
やらマックの自己遍歴のようにも思えてきます。きっと母国イ
ギリスでの過去の栄光(モッズから世界一大酒飲みのロックン
ロール・バンドまで)よりも、自らのキャリアを一端捨て去り、
アメリカで新たな仲間たちと音楽活動を初めてからのほうが長
い時間が経っていると思います。現在のバンプ・バンドのメン
バーは日本にも頻繁に来日しているスクラッピー・ジャド・ニ
ューカム(彼の出しゃばらないギターが良い!)を始めとする
カルテットですが、程良い隙間を活かしていく彼らのロックン
ロールを感じ取れる人はきっと幸せだと思います。最愛の人を
喪失してしまっても、なお健気な姿を見せるマック。今突然、
昔ディヴィッド・リンドリー&エル・レイオー・Xのメンバー
として来日し、ぼくにハイネケンのビールをおごってくれた彼
のことを思い出し、何だか泣けてきました。長く生きていれば
いるほど悲しいことも悔しいことも日々沢山あります。でもそ
の一方で、楽しいこと(より正確に言えばハッピーであろうと
する心持ちのことかもしれません)とか、毎日の営みに思わず
感謝したくなる瞬間があります。そんな感情の揺れがマックの
新作にはたっぷり詰まっています。彼のピアノやハモンドB3や
経験とともに成長した歌を聞いていると、思わず温かい気持ち
に包まれていきます。

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by obinborn | 2014-09-02 12:05 | one day i walk | Comments(0)  

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