『ベースメント・テープス』(地下室)に関するメモ

1975年になって正規発売された『地下室』。実際にはビッグ
・ピンクなどで行われたマラソン・セッション(67年の6月か
ら11月)以外の音源も数曲混ざっていることをご存知の方も多
いと思います。とくにディラン抜きでレコーディングされたザ
・バンドのKATIE'S BEEN GONEやBESSIE SMITHに関しては、
75年前後にマリブ・ビーチのシャングリラ・スタジオで新たに
録音されたのでは?という噂もあるくらい。筆者も長年聞いて
いて、とくにBESSIE SMITHは録音状態が良過ぎるので何とな
く気になっていたのでありました。それを裏付けるというわけ
でもないのでしょうが、今回発売される『完全版』には上記2
曲が収録されていないことを知った筆者は「やはり!」と妙に
腑に落ちたのでした。

むろん今回の『完全版』を貶めるつもりはありません。ただ私
にとって『地下室』最重要ナンバーの2曲が、フロム・ザ・ウ
ッドストック発ではなく、ニューヨークのコロムビア・スタジ
オなりサザーン・カリフォルニアでのセッションだった事実は、
もう少し冷静にザ・バンド伝説を俯瞰するいい機会にもなりま
した。何より大事なのはベースメント・テイプスでディランや
ザ・バンドが様々なマテリアル(ジョニー・キャッシュのカン
トリーからインプレッションズのソウル、はたまたイアン・タ
イソンのフォーク音楽まで)に素のまま向き合ったことだと確
信します。いわばオール・アメリカン・ミュージックのア・ラ
カルトであり、今風に言えばルーツ・ライクな視点。それらが
圧倒的な磁力となって、当時のロック・シーンに大きな影響を
及ぼしていきました。その一環がフェアポート・コンベンショ
ンなりサンダークラップ・ニューマンなり、マクギネス・フリ
ントだったりします。その渡英現象も興味深いなあ〜と。

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by obinborn | 2014-09-05 17:18 | one day i walk | Comments(0)  

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