ジム・プルトと重ねた歳月

学芸大学前のチェロキーというお店に伺った時、驚愕したのは
カウンターの壁面にジム・プルト『OUT THE WINDOW』のジ
ャケットが飾ってあったことだ。それも取って付けたようなレ
イアウトではなく、歳月とともに埃をかぶりながらも自然にそ
の場所に収まっているとでも言いたげな風情がたまらなかった。
きっとお店もそれだけの年月を重ねてきたのだろう。

ジム・プルトの名前を出して今の若い人たちがどれだけ解って
くれるのかは知らないけれども、60年代の西海岸にサウスウィ
ンドというバンドがあり、そこでベースを弾いていた彼がソロ
として再デビューしたのが、71年に発売されたこのアルバムだ
った。人気の秘訣は何と言ってもジェシ・エド・ディヴィスの
プロデュースと彼の粘り付くようなスライド・ギターだった。
実際ジェシのRENO STREET INCIDENTが本作で取り上げられ
てもいたし、ジェシやザ・バンドで有名になったジョー・ザガ
リノが素晴しいエンジニアとして彫りの深い音像を作り出して
もいた。参加メンバーもリー・スクラーとジム・ケルトナーに
よるリズム隊を母体に、ベン・シドラン、ドクター・ジョン、
ラリー・ネクテルなど、当時のロスアンジェルス・シーンを
一望するかのような豪華な顔ぶれが揃っていた。

でもそんなゴージャスだけだったら、果たしてぼくはこのアル
バムにこれほど肩入れしただろうか? むしろプルトの肩肘張
らない飄々とした歌があったからこそ、時代を超えて今もなお
懲りず、ふと思い起こした今日のような夕暮れ時にターンテー
ブルに乗せているのだと思う。デヴィッド・リンドリーも参加
した次のアルバムを同じユナイテッド・ステイツから出した後
は長い沈黙が続いたが、プルトが今なお活動している様子は、
カムバックした近年の作品からも十分伝わってくる。それにし
てもプルトの頼りないヴォーカルとジェシの真実味溢れるギタ
ーが交差し微笑み合うTHE GOOSE FLEW BACKなどに耳を傾
けていると、このレコーディングの一期一会に思いを寄せずに
はいられない。

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by obinborn | 2014-09-05 18:35 | one day i walk | Comments(2)  

Commented by kiku at 2014-09-20 11:27 x
小尾さん、お久しぶりです。
Jim Pulte最高ですね。このアルバムの中では、「Cry, Sing And Laugh」が一番好きです。ジェシエドのプロデュースの才能は素晴らしいですね。
学芸大学前のチェロキーというお店、行ったことがないのですが、どんなお店ですか?
Commented by obinborn at 2014-09-20 15:48
Kikuちゃん、ご無沙汰しています。ジム・プルト良いですね。昔から超愛聴盤です。Cry,Sing And Laughの穏やかさもサイコー!チェロキーは昔からあるロック喫茶でたまにライブも行われています

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