佐野元春&コヨーテ・バンドが2014年秋の全国ツアーへと旅立った。
な逞しいバンド・サウンド。28日に川崎チッタで行われた佐野元春
&コヨーテ・バンドのライブは、そんな佐野の現在をくっきり伝え
るものとなった。彼より一世代若いコヨーテ・バンドのメンバーが
招集された初めての成果が07年の春にリリースされた『COYOTE』
だったが、その地点から彼らは傑作『ZOOEY』を13年の3月に生
み落とすまでに至っている。現在レコーディングされている真只中
の新作を含めれば、今回のツアーはコヨーテたちの新曲を含めた最
も新しい報告といったところだろうか。
これから始まる全国ツアーの初日というだけあってオーディエンス
たちの熱量ははちきれんばかり。むろん80年代の若く無防備な日々
とは異なるのだが、そこには歳月を経て思慮を重ねた大人たちの経
験が活かされ、そんな彼らが過去からけっして途切れることなく流
れる川のようなものを再確認する慈しみの感情にも満ちていた。曲
目の紹介は当然ながら最小限に食い止めたいと思っているが、前述
したコヨーテ・バンドとの2作が軸となり羽根を伸ばしていったこ
とは間違いあるまい。若いカップルの営みをシンプルなスカ・ビー
トに託した「食事とベッド」が終わると、次にはあの壮大な物語
「詩人の恋」が歌われていく。この2曲が続けて演奏されながら
描かれる光と影。もしくは苦みを伴っていかざるを得ない時間と
いう魔物。私たちはそのことを知り、21世紀という抜き差しなら
ない荒野へとまた新たな一歩を踏み出していく。
波や風が突然町を襲い、魔物のようにその手を伸ばしてゆく。
針はレッドゾーンに達し、もう何の痛みも感じ取れないほどだ。
しかし、それでもなお私は昨日までと同じように佐野元春の歌を
繰り返し聞き続けることだろう。
by obinborn | 2014-09-28 23:41 | rock'n roll | Comments(3)
今日はついにお会いすることができて、嬉しかったです。
さすが、早いですね!
食事とベッド~詩人の恋の並びには、私もぐっとくるものがありました。
そして、「そんなにしんみりする曲じゃないよ」という元春の言葉にハッとしました。そしてすくわれるおもいでした。
このあと、オーラスの渋公がとても楽しみです。
です。あの曲がオープニングに選ばれたのは最近でもありましたが、それにしてもグッと来るものがありました(笑)