11月2日のキックス

2日の目黒リトル・テキサスは心地よいグルーヴの波に包まれた。
ザディコキックス5年ぶりの新作『CRAWFISH GOT SOUL!』を
記念してのレコ発ライブだけあって、開演前から華やいだ雰囲気
に包まれ、会場のあちこちから久し振り!の声が飛び交う幸福な
空気が足下を温めていった。南ルイジアナのザディコ音楽を本格
的に演奏し始めてちょうど10年の節目を迎えるキックス。そんな
彼らを祝うべく駆け付けたロス・ロイヤル・フレイムズ及び藤田
洋介&ヒズ・ミラクルトーンズのゲスト出演にしても、同じガル
フコースト・ミュージックで結び付いていったという共通項が頼
もしい。この夜もスワンプ・ポップ〜テックスメックス〜ザディ
コ〜ケイジャンと、ルーラルなアメリカ南部音楽がごく自然に連
なっていく様に、世代を超えた逞しさを感じずにはいられなかっ
た。

ロス・ロイの二人がボビー・ブランドやダグ・サームの曲を簡素
なガレージ・ロックで投げかけるかと思えば、ミラクルトーンズ
は日本のロック歴代の戦士たちを擁しているだけあって出音自体
が半端ない。ときにラフに流れてしまう部分はあるのだが、そこ
を大らかなノリでくるんでしまうのはオレンジ・カウンティ・ブ
ラザーズの飯田雄一のキャラが手伝ってのこと。しかもこの日は
同じ釜の飯をともにした中尾淳乙がギターで加わり、彼らならで
はの力感でハンク・ウィリアムズのJAMBALAYAを演奏した。
曲の輪郭だけをなぞっているだけのあまたのカヴァー曲とは異な
り、見える景色を自分の力でどんどん塗り替えていく。そうした
演奏の数々に長年のキャリアが滲み出ていた。

こうしたゲスト陣を大きな味方に付けたザディコキックスが、こ
の夜最高のノリを生み出したのは言うまでもない。DANCE ALL
NIGHTやUNCLE BUDといったダンス・ナンバーで観衆を鷲掴み
にするかと思えば、しっとりしたBONSOIR MOREAUでケイジャ
ン・ワルツの哀感を醸し出す。またお客さんのノリによってソロ
・パートの進捗を変幻自在に変えて見せる。そんなひとつひとつ
に、六角橋の闇市を始めとして各地でコツコツと鍛え上げてきた
キックスの実力が溢れ出す。ザディコとケイジャンという、とも
すればマニアックになりがちな音楽ジャンルに風穴を開け、日本
人ならではのドメスティックな心情を同化させてきたのはまさに
彼らだ。ボタン式アコーディオンとラブボード2台をメインに醸
し出されていく曲群も、リフが繰り返されていくなかでどんどん
リズミックな強度を増していく。

アンコールではまずロス・ロイを迎えてチャック・ベリーのPRO
MISED LANDが歌われ、次はミラクルトーンズとともにオレンジ
・カウンティのLINDA BELLEが奏でられた。その2曲から思わず
伝わるのはけっして借り物ではない南部音楽の血脈だ。それらを
共に分かち合えたことを嬉しく思う。

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by obinborn | 2014-11-03 03:57 | one day i walk | Comments(0)  

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