キンクス『マスウェル・ヒルビリーズ』
です(笑)というわけで今日は佐々木譲の警察小説(ぼくはこのジ
ャンルが大好きなのだ)を読みながら明日のパブロック・ナイトに
備えて、それ関係のアルバムを一枚ずつ聞いています。キンクス『
マスウェル・ヒルビリーズ』辺りで夕方になってきたのでビールを
飲み始めました。実際このアルバムはジャケットとともにパブ・ロ
ックの雰囲気をしっかり伝えていますね〜。アメリカ・ライクな埃
っぽいサウンド、市井の人々の何気ない日常をスケッチしたレイ・
ディヴィスのソングライティングも本作で頂点を迎えた感がありま
す。3時に紅茶を飲む歌もあればアル中の歌もある。ダイエットす
る婦人の顛末を皮肉った「皮と骨」もあれば、「複雑な人生」のよ
うな苦みの経験もある。そんな歌の数々を通過していくと終盤に、
アメリカへの憧れを託したような「オクラホマUSA」が置かれ、
叔父さんを慈しむ「アンクル・サン」が続き、アルバム最後を表題
曲「マスウェル・ヒルビリーズ」が締めていきます。この歌詞がま
た泣かせる。「ぼくはマスウェル・ヒルの少年。でも心は古き佳き
ウェスト・ヴァージニアにあるのさ。ニューオーリンズもオクラホ
マもテネシーも行ったことはないけど、あのブラック・ヒルをいつ
も夢見ている」
歌詞はさらにこう続きます「奴らはオイラを正しく教育しようとす
る。オイラの方言なんかが気に喰わないんだとさ。奴らはオイラを
狭い社会のなかに閉じ込めようとする。でもオイラはゾンビーじゃ
ない。コンピュータ社会に負けるもんか!そう、オイラには誇り高
いコックニーの血が流れているのさ!」レイの情けない鼻声のなか
に思わず真実味が宿り、愛おしい故郷を描いていくような瞬間です。
by obinborn | 2014-11-21 18:06 | one day i walk | Comments(2)