中井大介『NOWHERE』を聞いて

遅ればせながら中井大介のファースト・ミニアルバム『NOW
EHERE』(2013年 On The Corner)を聞いた。現在産休中の
欅夏那子に代わってパイレーツ・カヌーのツアーに帯同してい
ることから、カヌー・ファミリーの一員であることは何となく
把握していたけれど、彼の作った歌を彼自身の声で耳にするの
は今回が初めてだ。そして飛び込んできた音楽がカヌーが奏で
る幾多のルーツ音楽とは違うことに心地よい目眩を感じている。

むろんカヌー6人のメンバー全員が全面的に協力しているのだが、
聴こえてくるのは16ビートの淡いソウル感覚であったり、プロ
グラミング・サウンドとの対比で際立つアクースティック・ギ
ターの温もりであったり、心のままを映し出した歌詞であったり
する。とくに歌詞と控えめなヴォーカルがいい。彼らが活動の拠
点とする京都の町をぼくは殆ど知らないが、そうした町の風土に
寄りかかるのではない言葉と音楽とが東京の片隅で暮らしている
ぼくの耳にもすくっと入ってきて、しみじみ「いいなあ〜」と思
わせる。

大袈裟に愛やら平和やらを歌うのではない。むしろ中井大介は一
人帰路に着く時の呟きを大事にしている。耳触りのいい言葉たち
を慎重に迂回しながら、夜明けのダンスフロアで一人朝を迎えて
いる。大勢でいる時にみんなと一緒に歌うことは簡単だ。でも、
楽器を車に詰めながら一人で運転する時の気持ちはどうだろう?
寒い朝へと漕ぎ出していく時の孤独はどうだろう? そんなこと
まで中井大介の歌は静かに語り始めていく。アルバム・タイトル
は『NOWHERE』その意味がぼくはやっと解り始めたところだ。

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by obinborn | 2015-01-31 03:44 | one day i walk | Comments(0)  

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