45年めのグレイトフル・デッド

一口に愛聴盤といっても、何となく気に入っているものから
一生の伴侶となり得るものまで様々だ。まして40分近くある
アルバム一曲一曲のタイトルを正確に覚え、トラックの配列
まで記憶している作品となると、ぼくもいささか自信がない。
そんな数少ない例外が、ジャクソン・ブラウン『LATE FOR
THE SKY』や、キャロル・キング『TAPESTRY』だ。そして
グレイトフル・デッド『AMERICAN BEAUTY』が加わるくら
いだろうか。

A面頭のBOX OF RAINの歌詞にあるANY WINDOW〜という
フレーズに雨の予感を感じ、B面ラストに置かれたTRUCKIN'
に果てしない旅路を思う。その間には電話交換手に気持を託
すOPERATORがあり、穏やかなビートを伝えるRIPPLEがデ
ヴィッド・グリスマンのマンドリンとともに聞こえてきた。
BROKEDOWN PALACEではフィル・レッシュのベースがま
るでメロディ楽器のように鳴り響いていた。アルバム一枚を
何度も何度も聞き、たとえ時間が掛かっても全体像を把握し
たい。そんな欲求は不思議なことに、ぼくが若かった頃より
もずっと増してきている。

一時期のぼくは毎月出る音楽雑誌のレコード評を書きまくっ
ていた。最初は楽しかった。でもやがて疲れてしまった。わ
ずか一週間の締め切りのなかで確実に消耗している自分がそ
こに映っていた(すみません、そのような仕事をこなすのが
プロなのかもしれません)

この『AMERICAN BEAUTY』を今もこうして聞いていると、
単に懐かしいだけではなく、自分が好きだったものや好きに
なれなかったものまでをくっきり見渡すことが出来る。譲れ
ないものと言ってはいささか大袈裟かもしれないけれど、筆
者にとってこのアルバムは帰るべき家であり、故郷であり、
大いなる土地なのです。願わくばその土地が枯れてなければ
いい。乾いてしまった大地に雨が降ればどれだけ植物は生命
を吹き返すことだろう。ジャケットの真ん中に置かれた薔薇
の花を眺めていると、そんな気持が思いっきり込み上げてく
る。

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by obinborn | 2015-04-04 18:06 | one day i walk | Comments(0)  

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