1974年のジョニ・ミッチェル

ジョニのライブ作といえば80年の『SHADOWS AND LIGHT』
が名高いですが、74年の『MILES OF AISLES』も忘れられま
せん。74年といえば彼女にとって転機となった『COURT AN
D SPARK』がリリースされた年であり、ジャズ〜フュージョ
ン路線へと踏み込んでいく姿がこの『MILES』からもしっかり
と伝わってきます。ここでバックを務めるのはトム・スコット
率いるL.Aエクスプレスの面々であり、マックス・ベネットと
ジョン・ガリンによるリズム隊など『COURT〜』と重なる部
分が多く、まさに”コート・アンド・スパーク・ツアー”の記録
なのかもしれません。

それでも『COURT』からの選曲は、わずかPEOPLES PARTI
ESの一曲に留まるのみ。その他のナンバーはどれも初期のジョ
ニを代表するものばかりです。そんな意味ではグレイテスト・
ヒッツ・アルバムのようにも楽しめますが、そうしたキャリア
初期の弾き語り曲をリアレンジし、躍動するビートとともに届
けたことに本作の大きな意義を感じずにはいられません。例え
ば冒頭のYOU TURN ME ON I'M A RADIOではロベン・フォー
ドのギターがヴォリューム奏法でジョニの歌に寄り添っていき
ます。次に来るBIG YELLOW TAXIはオリジナル・ヴァージョ
ンからは想像も出来ないほどにリズムのハネが強調されていま
す。その一方でしっとりした弾き語りパートもあることが、こ
の時点でのジョニの現在と過去を映し出しているように思えて
なりません。ああ、A CASE OF YOUでのダルシマーの響き!
今こうして再びこのアルバムを聞いてみると、ジョニの声の若
さや奔放さに少なからず驚かされます。弾き語りもいいし、16
ビートで一気に駆け抜ける意欲作LOVE OR MONEY?(これの
みスタジオ・レコーディング)は今なお新鮮です。フォークの
サークルから出発したジョニが、やがてそれには飽き足らずに
貪欲なまでに異なるジャンルの音楽を吸収していく。その音楽
的な野心と輝きがここにはしっかりと刻印されています。

「彼らは森林を伐採して、そこに森林の博物館を建てる。何て
愚かなのかしら」BIG YELLOW TAXIにはそんな歌詞が歌い込
まれています。あるいは「私の老人は行ってしまった」とも。
その老人というメタファーが賢者ではないか? と気が付いた
のは私がもっと大人になってからでしたが、『COURT』同様
に音が光の束となって押し寄せてくるこの『MILES』アルバム
の体験は特別なものでした。

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by obinborn | 2015-04-14 18:09 | one day i walk | Comments(0)  

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