お帰り、パーシー

パーシー・スレッジが亡くなってしまった。すごく聞きたい
と思って取り出してきたのが74年のキャプリコーン盤『I'LL
BE YOUR EVERYTHING』だ。クィン・アイヴィ制作のもと
アラバマのマスルとブロードウェイ・スタジオの二カ所でレ
コーディングされたこのアルバムは知る人ぞ知る大名盤であ
り、ピート・カーが素晴しく光沢のあるオブリ・ギターを弾
いていることもあって、ピート・マニアにとっては必携の作
品として知られている。正直に言えばぼくもパーシーへの興
味というよりも、ピートの演奏故に聞きまくったことが懐か
しく思い出される。

それでも技巧に走らないパーシーの歌に好感を持ったのは間
違いない。とくにアルバム表題曲となったジョージ・ソウル
作I'LL BE YOUR EVERYTHINGにはとことん惚れた。サザー
ン・ソウルの数ある名シンガーたちに比べるとパーシーの歌
には明らかに声量が足りないのだが、そのハンデを逆手に取
った温かくメロウなプロダクションが実に聞かせる。ジャケ
ットは何やらディスコ風で損をしているのだが、パーシーの
ような60年代組のソウル・シンガーが忘れられていた70年代
にこうした傑作をものにしていたことは覚えておきたい。ボ
ズ・スキャッグスの『MY TIME』(マスルとシスコ録音が約
半分ずつ)は文句なしのホワイト・ソウルだが、それと同じ
くらいぼくはパーシーの『I'LL BE YOUR EVERYTHING』が
好きだった。

LP盤の裏側にはフィル・ウォルデンがこんな一文を寄せてい
る。「1966年の心地よい南部の日、オーティス・レディング
と私は飛行機から降り立った。空港はまだ冷房が効く前だっ
た。そう、私たちはリック・ホールが推薦する新しいシンガ
ーのためにメンフィスからマスル・ショールズまでフライト
してきたのさ。彼の名前はパーシー・スレッジ。そして今、
私はパーシーの復活を祝したい。いや違うな、もっと大事な
ことがある。それは彼が故郷に帰ってきたことなんだよ」

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by obinborn | 2015-04-15 17:57 | one day i walk | Comments(0)  

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