5月9日のザディコキックス

太く逞しい演奏がどこまでも続いていった。各楽器どうしの
間で生じる小波が重なり合いながら、やがて大波となって大
海に漕ぎ出していく。そんな力感漲るザディコキックスのラ
クスのライブを9日は池袋のフリーフロウ・ランチで。半年
観ないうちにこのバンドは”化けた”。そんな感想を抱いたほ
ど濃密な二時間だった。これも時間を開けず各地でのギグを
十年以上続けてきた彼らの底力だろう。

古くは1920年代から南ルイジアナ地方に伝わるクレオール・
ミュージックのザディコ。アコーディオンとラブボード(洗
濯板)を軸にしながら反復ビートをどこまでも繰り返してい
くその音楽は、バレルハウス・ブギやザイール地方のリンガ
ラにも似た酩酊感をもたらす。反復しているうちにリディム
輪郭がくっきりと立ち現れ、演奏者自身予測もしなかったグ
ルーヴへと突入していく。彼らがとくに好む本場ザディコの
ブーズゥ・チャーヴィス曲PAPER IN MY SHOEにしても、ト
ゥーツ&ザ・メイタルズのスカ・ナンバーMONKEY MANにし
ても、異なる音楽の共通項を導き出していくような驚愕があ
った。曲によってはザディコと異母兄弟のような関係にある
ケイジャンをフィドルとトライアングルを用いながら奏でた
り、オレンジ・カウンティ・ブラザーズの「リンダ・ベル」
でテックス・メックスに接近するなど、ガルフ・コースト全
体のエリアを描き出していくルーツ・ロックの味わいもたっ
ぷり。

非クレオール文化圏でのザディコへのアプローチといった意
味ではクリス・ジャガー(ミック・ジャガーの実弟)率いる
アッチャ・バンドやゲラント・ワトキンスのバラム・アリゲ
イターズといった英パブ・サーキットのメンタリティにも近
いと思う。彼らが日本に来てザディコキックスを観れば、き
っと大喜びしながら共演を申し込むことだろう。

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by obinborn | 2015-05-10 06:54 | one day i walk | Comments(0)  

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