8月1日のホンク

音の粒子がキラキラと輝きながらどこまでも弾け
飛んでいった。1日に高円寺のJIROKICHIで行われ
た東京ローカル・ホンクのワンマン・ライブはそん
な至福感に包まれる特別な夜となった。人力演奏に
よるロック・カルテットとして出来ることのすべて
を注ぎ込んだかのようなアンサンブルは精緻であり
ながら、ラフな匂いを失っていない点にも思わず肩
入れしたくなるほどで、この日会場に居合わせた方
々は特別な体験をされたと思う。お客さんたちの笑
顔が何よりもそれを物語っていた。「ハイウェイソ
ング」に始まり、本編を生命讃歌である「おいでお
いで」で終え、アンコールでは陽性のロード・ソン
グ「車のうた」とアカペラ・コーラスが詩情を醸し
出す「サンダル鳴らしの名人」とを束ねていく。そ
の約3時間の場面場面に今すぐ立ち戻りたいほどだ。

ホンクのソングライターである木下弦二の歌には「
身も蓋もない」や「社会のワレメちゃん」といった
現実世界へのシリアスな認識がある一方、「拡声器」
や「冬のお嬢さん」に代表される愛おしい日常のス
ケッチがある。ジョン・レノンやスティーヴィ・ワ
ンダーといった先人がそうであったように、弦二の
歌もまた社会性と日々の断片とが別個の歌として選
別されるのではなく、互いに響き合いながら、聞く
者たちの心の奥底に確かな足跡を残していく。

辛い時代だからといって、もっともらしく紋切り型
のメッセージを連呼すればいいというものではある
まい。事実私は今夜もホンクの楽しい歌に深い悲し
みを感じ、日々の描写の陰に蠢く人々の群像劇を思
った。

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by obinborn | 2015-08-02 00:59 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

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