10月27日のroppen
たばかりにもかかわらず大変な大入りで、会場に集まったすべ
ての人がこの若いバンドに期待を寄せていた。そんな清々しさ
に満ち溢れた夜だったと思う。彼らのファースト・アルバム『
旅の途中』からの曲群が、ときに女声コーラスやサキソフォー
ンのゲストを迎えながら膨らみを増していく。CDも悪くないが、
roppenの五人それぞれが繰り出していく音が溶け合い高揚して
いく瞬間を体験した喜びは大きい。季節の移ろいを淡い色彩で
スケッチした「鮮やかなストーリー」が背景の絵柄を飛び越え
ながらじわりと染み入る。終盤に置かれた「旅の途中」が偉ぶ
らず、大袈裟にならず、自分たちの窓から世界のありようを見
届けようとする。そんな若葉のような音と言葉に酔った。
暖色のエレピ、しっかりと抑制されたドラム、柔らかいトーン
で丁寧に裏メロを拾っていくベースは勿論、アクースティック
・ギターとストラトキャスターとが、中村浩章の歌を介在にし
ながら会話を交わしていく。そんな楽器どうしの連携に思わず
溜め息が出るほど。ソウル音楽的な16ビートの語彙や歌伴に徹
したギターのオブリガートが、俯きがちな主人公の歌をしっか
りと最後まで守護していく。新しい世代が古い土地を耕し、懐
かしい町や、いつか見た愛おしい人々へと目線を注ぎ込んでゆ
く。
by obinborn | 2015-10-28 02:09 | one day i walk | Comments(0)