アーロ・ガスリー『ホーボーズ・ララバイ』

アーロは72年の『HOBO'S LULLABY』も好きなアルバムの
ひとつ。スティーヴ・グッドマン作の名曲The CIty Of New
Orleansがアーロ版で大ヒット(72年9月に全米で第15位!)
し、それを収録した点でも彼のキャリアでは最も親しまれた
LPかもしれない。アーロは自作曲が少なく、厳密な意味で
はソングライターとは呼べないのかも知れないが、歌の語り
部というフォーク音楽本来の役割をしっかり担いつつ、本作
でも偉大過ぎた父親のレパートリー、ホイト・アクストンや
やディランそしてガス・キャノンなどの歌を温め直している。
明晰な発声で朗々と歌うアーロのシンギングに惹かれた人も
少なくないだろう。

バイロン・バーライン、サム・ブッシュ、ダグ・ディラード
といったブルーグラス〜カントリー畑の達人から、ライ・ク
ーダーと彼の周辺にいたジム・ケルトナー、クリス・エスリ
ッジ、ジム・ディキンソン、リッチー・ヘイワードといった
LAスワンプの面々までを束ねたレニー・ワロンカーの手腕も、
次作『最後のブルックリン・カウボーイ』とともに十全に発
揮された。60年代の前半に起きたフォーク・ミュージックの
大ブームは過ぎ去り、もう少し個人的な歌を主題にしたSSW
が台頭し支持されてきた70年代序盤に、アーロのような歌い
手は苦戦したのかもしれない。しかしカントリーからロック
までの広範なフィールドに及ぶ名脇役を適材適所に配するこ
とで音楽的な語彙を生んだことを特筆したい。フォーク歌手
のバックでアラバマ・ボーイのスープナー・オールダムが暖
かいオルガンを弾く。ニック・デカロが優雅なアコーディオ
ンを奏でる。ライがエレクトリック・スライドで極上の一絞
りをし、クライディ・キングやリンダ・ロンシュタドのコー
ラスが主人公の背中を見守るDays Are Shortの鮮やかさはど
うだろう。そのレコーディング光景へと思いを馳せたい。

アルバムのタイトル・トラックであるHobo's Lullabyがやは
り秀逸だろうか。彼の父親であるウディ・ガスリーもよく歌
っていたこの曲はこんな風に始まる「おやすみ、小さなホー
ボー/町はゆっくりと静まってきたね/鉄道の音が聴こえるか
い?/それがきみへの子守唄/明日のことは時に任せよう/明日
はすぐやって来て去っていくだけさ/今宵きみはボックスカー
のなかで風と雪から守られている」

e0199046_14213996.jpg

[PR]

by obinborn | 2015-11-01 14:22 | one day i walk | Comments(0)  

<< 11月3日の中村まりと塚本功 アーロ・ガスリー『最後のブルッ... >>