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12月23日の中村まり

23日は中村まりのクリスマス・ライブを下北沢のラカーニャ
にて。今年で4回めとなる恒例行事だが、原さとしのバンジョ
ーと安宅浩司のギター&マンドリンという従来の編成に加え、
今回は手島宏夢(ハニークッキーズ)のフィドルを加えると
いうヴァリエイションがあり、普段にも増して楽しめた。そ
れにしても驚かされるのは選曲の鋭さ。世にクリスマス・ソ
ングは数多くあれど、シーガー・ファミリーなど40年代のア
メリカで歌われてきたそれらを取り上げるのは中村くらいの
ものだろう。それも奇を衒ったアプローチではなく、彼女が
普段から奏でている音楽と自然な結び目を作る辺りに、静か
な情熱を感じた。実際筆者が知っていたのはBright Morning
StarとAngel Bandくらいであり、徹底して古い歌を採集して
くるその姿勢はまさにフォーク・シンガーそのもの。以前に
中村は「オリジナルを歌う時と違い、カバーソングの場合は
背負うものが少ないだけ、歌の介在者になれる気がします」
と語っていたが、さしずめこの日はその実践編と言うべきも
の。ディーヴァ(歌姫)という形容が安直に使われがちな昨
今にあって、歌の巡礼者たらんとする中村まりの地に足を付
けた活動ぶりが頼もしい。虚飾のないステージングとともに、
彼女の歌心が染み亘る特別な夜となった。

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by obinborn | 2015-12-24 11:49 | 中村まり | Comments(0)  

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