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46年めのアビーロード

普段はレコード番号まで意識するコレクター的なタイプでは
ないのですが、昨日買った『アビーロード』を調べてみると、
英国に一週間遅れて69年の10月1日に発売されたアメリカ盤
であることが判明しました。マトリックスがF36/F35なので
必ずしも初回プレスとは言えないのでしょうが、いずれにし
ても貴重なSO-383です。こんな有り難いアイテム(しかも
美品)をわずか1,500円!で販売してくださるフラッシュさん
に改めて感謝致します(逆に言えばこれが15,000円だったら
研究する対象ではなかったということ)

私は後期ビートルズに関しては俄然『レット・イット・ビー』
派であり、中途半端な結果に終わったとはいえ、そのアーシ
ーな方向性に70年代スワンプ・ロックの到来を感じたもので
した。それに対して『アビーロード』は良くも悪くも作り込
み過ぎたポップ・アルバムといった印象を拭い切れません。
多くの方々がとくに驚嘆するB面のメドレーにしても、ポー
ルとジョージ・マーティンの孤独な作業ばかりが目に浮かん
できてしまい、私が彼らに求めた”バンドの匂い”はとうに失
われていたのでした。それでもこういう機会を見つけて久し
ぶりに聴いてみると、実によく出来たスタジオ・アルバムだ
なと感服します。演奏面ではとくにポールのベースが重要な
働きをしていると思います。メロディックなフックを持った
スタイルであることは既に語り尽くされた感もありますが、
このU.Sオリジナル盤で聴くと、心なしか音の太さが際立っ
て聴こえてくるようです。思えば私が音楽に”裏メロ”がある
ことを初めて知ったのは、「サムシング」に於けるポールの
ベースラインでした。また「サン・キング」での抑制的なべ
ースも心に残るもので、ビートルズ・フォロワーだった日本
のチューリップが、初期の隠れた名曲「ちどり橋渋滞」でモ
ロに援用するほどの影響力でした。またポールらしいオール
ディーズ趣味を活かした「オー・ダーリン」の3連符にして
も、彼のベースが予想以上にブイブイと鳴っているのが何と
も痛快ですし、驚愕のヘヴィ・ロック「アイ・ウォント・ユ
ー」に関しては言わずもがな。

今回これを買ったからといって、中学時代に購入した東芝音
工盤の『アビーロード』を売ってしまおうという気はまった
くありません。思い出が詰まっているからとは安直な言い方
かもしれませんが、私にとって大事なものです。ちなみに村
上春樹は『ノルウェイの森』の登場人物に「ヒア・カムズ・
ザ・サンは人生の機微を解っている人の歌」だと語らせてい
ます。

46年めのアビーロード_e0199046_20113383.jpg

by obinborn | 2015-12-24 20:12 | one day i walk | Comments(0)  

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