J.Geils Band 『Monkey Island』

2016年明けましておめでとうございます。本年もよろしく
お願い致します。今年も皆さんが幸せでありますように。
77年に発表されたJ.Geils Bandの『Monkey Island』は彼ら
の新局面を打ち出す意欲作となった。70年にデビューして
以来6枚のスタジオ・アルバムと2枚のライブ作でブルーズ
とR&Bを追求してきた彼らだが、9作めに当たるこの『Mo
nkey』ではマイケル・ブレッカーのサックスやシシー・ヒ
ューストンのヴォーカルをフィーチャーするなど外部プレ
イヤーとの接触を計り、従来の泥臭いサウンドとは異なる
洗練された音作りへと舵を切った。しなるようなファンク
・ビートに貫かれたSurrenderでのシシーとピータ・ウルフ
の掛け合い、ちょっと肩の力を抜いた可愛らしい楽曲You'
re The Only One、大泣きのバラードで最近では木下弦ニが
ソロ・ライブで取り上げることもあるI'm Fallin'でのブレッ
カーのテナー・サックス、マーヴェロウズが65年に放った
ドゥ=ワップ・ヒットI Doのカバーなどが新鮮だった。わけ
ても驚かされたのが、9分を超えるアルバム表題曲Monkey
Islandだった。歌がなかなか始まらないインストに比重を置
いたナンバーで、マジック・ディックが得意のハーモニカば
かりかトランペットでソロを取っている。むろん従来のノリ
を生かしたI'm Not RoughやSo Goodのような曲もあるのだ
が、全体としては内省的な響きが勝っているのが本作のカラ
ーだろう。アルバム最後に置かれたWreckageでの枯れた味
わいのエレピとアクースティック・ギターにも、未来への漠
然とした不安を感じ取ることが出来る。細かく見ていくとア
ルバム・クレジットにもずっと表看板だったJ.Geils Bandの
文字はなく、ただそっ気なくGeilsの記されているのみなので
あった。本作をもって彼らはアトランティック・レーベルと
の蜜月時代を終え、新たにEMIアメリカと契約し、One Last
Kiss、Come Back 、Love Stinks、Centerfold、Freeze Fram
eなどのヒット曲を連発していく。しかしながら80年代の音
を反映したエレクトリック・ポップ路線は筆者には受け入れ
難いものだった。ライブ活動に於いてはきっと従来と同じよ
うな熱いステージを繰り広げていたと思うが、大人になると
いうこと、売れるということはそういうものなんだなと、妙
に寂しく感じたものだ。そんな彼らの歴史を思う時、分岐点
となった本作『Monkey Island』をふと取り出してみたくな
るのだった。ちなみにピーター・ウルフは7人めのメンバー
とも噂され、楽曲クレジットにも記されることが多かったジ
ューク・ジョイント・ジミーについてこう語っている「オレ
たちの架空のヒーローだよ。いつもオレたちを見守ってくれ
るような」と。そのJJJの名前が記されることも以降はすっか
り途絶えてしまった。

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by obinborn | 2016-01-01 14:23 | rock'n roll | Comments(0)  

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