1月31日の木下弦二

まるでジョアン・ジルベルトが降りてきたような夜だった。
柔らかい声とセミアコによる深みのある響きがどこまでも
歌を押し広げていく。そんな木下弦二の弾き語りソロ・ライ
ブを31日は中央林間のパラダイス本舗にて。「遠い願い」で
始まり「ハイウェイ・ソング」で締めくくられるまでの150
分は濃密でありながら、飽きたらよそ見してもいいんだよと
でも言いたげな主人公の心のありようが聞き手たちを優しく
包み込んでいった。終盤には藤田洋介を迎えて彼が夕焼け楽
団に在籍していた70年代の「ザット・オールド・ラッキー・
サン」「星くず」「バイバイ・ベイビー」を連ねるなど、サ
ーヴィス精神もたっぷり。そして弦二は昨朝出来たという新
曲も披露した。まだタイトルが付けられていない産声を上げ
たばかりの歌だったが、そんな瞬間に立ち会えたことを嬉し
く思う。終始ピックを使わないギターがデリケートなニュア
ンスを醸し出すところもたまらない。いい歌を聞いた夜は帰
りの電車が少しも苦痛ではない。家に帰ってきて飲む紅茶が
美味しい。そしてこんな時は無音とともに過ごしたい。時計
の針はもうすぐ午前2時を指す。

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by obinborn | 2016-02-01 02:00 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

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