ヴァン・モリソンの95年作『Days Like This』に寄せて

ヴァン・モリソンには渾身の力作と適度に肩の力を抜いた
アルバムの両方があり、加齢とともに後者の味わいを増し
てきた近年の歩みを、私は大変好ましく思っている。何で
も数日前に英皇室からSirの称号を授かったというが、60年
代のゼム時代から始まる彼の長いキャリアへのご褒美くら
いに受け止めておけばいいのでは? ベルファスト出身の
彼がアイルランド紛争に心に痛めながら自らの音楽を推し
進めたことを思えば、今回の受賞に感慨も湧く。そんな彼
の95年作『DAYS LIKE THIS』が、何となく今日の気分か
な。娘のシャーナ・モリソンとともに犬の散歩をするジャ
ケット写真からして気取らないモリソンの姿が伝わってく
る。名パートナーとなり90年代前半の彼を支えたジョージ
ィ・フェイムが、すでにバンドを去ってしまっている点に
幾ばくかの寂しさを覚えるものの、彼がいなくてもかつて
のような宗教路線に走らず、等身大の日常を慈しんでいる
様子が伝わってくることを喜びたい。とくにブライアン・
ケネディのハイテナー・ヴォイスがもうひとつの声となり、
重厚になりがちなモリソンとコントラストを作っている。
歌詞に「ドクター・ジョンに会うために私はニューオーリ
ンズの町並みを歩いた。モージョ・ウォークをしながらね」
と歌われるRussian Roulette、ジャズ・スタンダードを愛
娘シャーナとともに歌うYou Don't Know Me、ティナ・ラ
イルのヴィブラフォーンが何気に光るSongwriterなど楽曲
としても魅力的だ。70年代前半の大名盤『アストラル・ウ
ィークス』や『ムーンダンス』だけではなく、この『DAY
YS LIKE THIS』がどうかあなたのレコード・コレクション
に加わり、日々を彩ってくれますように。

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by obinborn | 2016-02-05 19:12 | one day i walk | Comments(0)  

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