エンタくん、今までありがとう!


エンタくんと知り合ったのは確か5年ほど前、三鷹のバイユ
ーゲイトでザディコキックスを観ていた時だった。終演後彼
のほうから「小尾さんですよね?以前ロス・ロボスのビルボ
ードでお見かけしました」と声を掛けてくれたのだった。実
は以前にエンタくんがドラムを務めるロッキン・シューズを
ぼくは大井町のグルーヴァーズ・パラダイスで観ていて、「
一曲めがバッファローのFor What It's Worth(価値あるもの
のために)でしたね。カッコ良かったよ!」と感想を言った
ら、彼は照れながら「いやあ〜、あれはシェールのヴァージ
ョンを参考にしました。でもよく覚えていてくれましたね!」
と答えてくれた。あの時の嬉しそうな笑顔が忘れられない。
その前にもスクイーズボックス・ナイトが赤坂のライブハウ
スであった時に会っていて、素直に身体ごと喜びを現すエン
タくんに好感を抱いた。三鷹での出会いから暫くして、彼が
故郷の山形に帰ったことを知った。せっかく出会ったばかり
だっただけに、それだけが心残りとなった。でも風の噂で彼
が地元で新たな仲間たちと再び演奏活動を始めたことを知り
温かい気持になった。そういえば彼は当時禁煙にマジで取り
組んでいて、ぼくは「浮かせたお金でまた新しいCDを買える
ね!」なんてツイッターで励ましたっけ。

そんなエンタくんが先日亡くなってしまった。末期の肝臓癌
だったという。享年42歳。先週末からぼくは盟友のハル宮沢
からそれを知り、その後タマシロ・マーケットのウッチーさ
んと池袋で会い詳細を聞いた。あまりに悲し過ぎる。ぼくな
んかよりずっと若い才能がこの世からまた一人消えてしまっ
た。彼はリヴォン・ヘルムとアル・ジャクソンとハワード・
グライムスを敬愛した人だった。エンタくん自身のドラムも
そんな偉人たちに倣った、シンプルながらもタメが深〜いも
のだったと記憶している。そういえばぼくの誕生日にもメッ
セージをくれるなど、偏見なく人と接し、何気な気配りが出
来る人だった。

エンタくんが1月30日に書いたフェヴァリット・アルバムを
紹介させて頂きたい。それは次のものだった。ストーンズ
『メイン・ストリートのならず者』ビートルズ『ア・ハード
・デイズ・ナイト』ザ・バンドの『ブラウン・アルバム』
『ボビー・チャールズ』ドクター・ジョンの『ガンボ』リー
・ドーシーの『イエス・ウィ・キャン』リトル・フィートの
『ディキシー・チキン』ボブ・ディラン『血の轍』、そして
最後がニール・ヤングの『アフター・ザ・ゴールド・ラッシ
ュ』だった。まるで気負いがない、正直でまっすぐな選択。
きっとそれは彼の人柄なのだろう。だからこそ彼はみんなに
愛された。エンタくん、きみと一緒にもっとビールを飲みた
かった。一晩中ずっとバカっ話をしたかった。リヴォンが叩
くカウベルのマジックについて語り尽くしたかった。きっと
『大好きなアルバム』の選択は、彼が死に怯えながらも必死
になって書き留めたものだろう。それを思うと胸に突き刺さ
ってくるものはあまりに多い。エンタくん、ぼくは今きみが
大好きだった『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』を聞い
ているよ。今ちょうどA面最後の「朝が来るまで〜Till the M
orning Comes」に差し掛かったところだよ。

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by obinborn | 2016-02-25 17:53 | one day i walk | Comments(0)  

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