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私は明日もきっとその人の名を呼ぶだろう、ウィルコ!と。


川越のパブロック・ナイトは熱狂だった。私より遥かに若い
娘さんたちが、LPやシングルでパイレーツやブリンズリーや
エディ&ザ・ホットロッズなどを回していたのだから、思わ
ず頬が緩んでしまった(笑)やはりミッシェルガン・エレファ
ントの影響でこういう音楽に目覚めた世代なのだろうか?きっ
かけがどうであれ、パブロックが今なおこうして愛好されてい
る事実がもう嬉しくって。思えばシンプルなビート・ミュージ
ックやルーツ音楽は、とりたてて新しくない代りにけっして古
いわけでもない。そんな意味では間違いなく時代を超越したホ
ンモノというわけ。私が心から良いと思い、ずっと文章を書い
てきたパブロックは間違ってはいなかったのかも。

私の好きなパブロックの名盤は、勿論数え切れないほどある。
そのなかでも70年代中盤という時代背景を考慮しながら、あえ
て一枚を選ぶとしたら、私は何の迷いもなくドクター・フィー
ルグッドの『STUPIDITY』を差し出すだろう。まったくギミッ
クのない演奏と、キャンベイ・アイランド(ロンドンを挟んだ
対岸の工業とリゾートのエリア)出身の四人組ならではの、中
央に対して反抗するスピリットが見事なまでに捉えられている。
以前から音や映像で親しんできたリー・ブリローとウィルコ・
ジョンソンとの友情が感じられる良き日々だ。しかもその関係
が歳月とともに次第に綻びを見せ始め、崩壊していく様が切ない。

この『STUPIDITY』は何と76年の10月に英国のアルバム・チャ
ートで第一位に輝いた。産業化するばかりだったロック・カル
チャーに怒りを表明したこの若者たちが愛した音楽は、この盤
でカバーされた曲のシークエンスで言うと、チャック・ベリー、
ソロモン・バーク、ボ・ディドリー、ルーファス・トーマス、
コースターズ、サニーボーイ2世だった。今私が言いたいこと
はそれほど多くない。あえて言えばこうかな「ウィルコさん、
リー・ブリローが早死したぶん、黒色のテレキャスターをずっ
と鳴らし続けてください!」

私は明日もきっとその人の名を呼ぶだろう、ウィルコ!と。_e0199046_18321915.jpg

by obinborn | 2016-04-26 18:35 | rock'n roll | Comments(0)  

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