ロバート・クラムと川崎ゆきお

一時期戦前ジャンプやジャイブ音楽を集めていた時期がある。
これは正確には故中村とうよう氏の影響であり、彼が監修し
た『RCAブルーズの古典』『ブラック・ミュージックの伝統』
(上下巻)によって視野を広げ、それだけでは物足りなくな
りテディ・バンやハーレム・ハムファッツのリイシュー盤など
に手を伸ばしていった。今振り返ると若かった故に背伸びして
いた部分もあったと思うのだが、ジェフ&エイモスやライ・
クーダーに感銘を受けたロック世代が、好奇心とともに時代を
溯っていくのはごく自然な流れだった。

とくにアメリカン・コミック界の鬼才、ロバート・クラム率い
るチープスーツ・セレナーデズの存在には大いに励まされた。
戦前音楽の発掘レーベルとしてお馴染みのヤズー・レーベルの
ジャケットを描いたことでもクラムは知られるところだが、そ
の彼が実際にチープスーツを組み、ヤズーの姉妹レーベルのブ
ルーグースからレコードを発表したのだからたまらない。わけ
ても74年のファースト・アルバムは忘れ難い。ぼくはやや時間を
置いて80〜81年頃、その手に目がない江古田のクラン・レコー
ドで購入したが、当時流行していた世間一般の音楽に馴染めなか           った自分にとって、「まあ、いいじゃんか」と語り掛けるよ
うに歌いバンジョーを弾くクラムは親しい友人のように映った。
のちにギターの名手であるボブ・ブロズマンがメンバーとなり
チープスーツの音楽は本格的になったけれど、このファースト
・アルバムにはアマチュア集団ならではの素朴なトキメキが溢
れていて、彼らが残した3枚のなかで最も愛着を覚える。

ちなみにコミック繫がりで言うと、アンダーグラウンド漫画界
の川崎ゆきお氏が僕は好きだった。とくに彼が造形した猟奇王
というキャラクターは痛快だった。その猟奇王に込められたも
のはアンチ・ヒーローの姿であり、ちょっとした風刺であり、
世の中を斜に構えて見るキンキーな(ひねくれた)態度だろう。
猟奇王はある一コマでこう言っている「時代性がナンボのもん
じゃい」と。 

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by obinborn | 2016-05-08 17:56 | one day i walk | Comments(0)  

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