7月16日の東京ローカル・ホンク

16日は東京ローカル・ホンクのワンマン・ライブを高円寺の
JIROKICHIにて、たっぷり3時間堪能した。先月のツアー最
終日には気の毒なほど声帯を痛めていた木下弦二だが、この
日は彼本来のイノセント・ヴォイスが復活。四人の演奏もビ
シっと引き締まり、最近では躊躇なくベストと呼べる内容に
なった。楽曲もうずまき〜ホンクの20年以上を凝縮するかの
ように、うずまき時代の「おいのりのうた」から弦二の最新
ソロ・アルバムに収録された「また会おう」までが、しっか
りと組曲のように束ねられていった。

初期の無邪気な「海辺の家の一週間」もあれば、苦みに満ち
た最新曲の「身も蓋もない」や「ダーク・マター」での哲学
的な洞察もある。そうしたソングライティングの変化や、渋
味を増したこの夜の演奏が、見事なまでに彼らの成長過程を
捉えていた。彼らの世代には珍しく、人力による生きた演奏
に持てるすべての力を注ぎ込んだ情熱がたっぷり。やや大袈
裟に言えば、かつてザ・バンドも成し得なかった領域にまで、
今現在のホンクはしっかりと足を踏み込みつつある。

自分の窓から見える光景をしっかり歌詞に書き留め、それら
を柔らかな旋律とグルーヴのある演奏で飛躍させていく。言
葉で言えば簡単かもしれないが、実はあまりに困難な課題へ
とホンクは立ち向かい修練を重ねてきた。しかも最初に楽器
を手にした時の初々しさを彼らが見失うことはない。それは
きっと、メジャーになるかインディのシーンに留まるかとい
った大雑把な二元論ではあるまい。自分たちの好きなことや
愛する光景を彼らは守る。それはすなわち、自分がどうして
も好きになれないことや、暗い情感には囚われまいとする心
映えだ。東京ローカル・ホンクは多くを語らずとも、名もな
い花に水を差すように、枯れた土地に雨を降らせるように、
長い歳月に亘って演奏してきた。その価値を思わずにはいら
れない。今頃楽器の搬出はもう終わっただろうか。夜が明け
れば彼らのバンは明日の公演地である水戸へ向かう。一期一
会に笑みを交わしながら。「ハイウェイソング」を口ずさみ
ながら。

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by obinborn | 2016-07-17 01:49 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

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