ロジャー・ティリソンwithラリーパパのライブ盤に寄せて

ラリーパパのマネジャーをなさっている柳本さんが『ロジャー
・ティリソンwithラリーパパ』のサンプルCDを送ってくださっ
た。そう、ロジャーが03年の6月に来日公演を行った際のライ
ブが時を経て遂に音源化されることになったのだ。今こうして
聞いていると、当時自分が会場に行かなかった(行けなかった)
ことが悔やまれる。オクラホマの砂埃に吹かれたようなロジャ
ーの塩辛くザクザクしたギターの弾き語りは、彼が地元で普段
行ってた素の演奏を想像させるほど。「こんばんは。私はジョ
ニー・キャッシュです」とジョークのMCで始まり、オリジナル
に交えてエルヴィス・プレスリーの「ミステリー・トレイン」
やリトル・ウィリー・ジョンの「オール・アラウンド・ザ・ワ
ールド」を歌っていく姿が、40年代生まれの南部人そのままを
気取りなく伝えている。

もうひとつの大きな価値は、セカンド・ステージで日本が誇る
ラリーパパ&カーネギーママが、ロジャーのバックを務めたこ
とだろう。彼らの実力は狭山のハイドパーク・フェスやマーク
・ベノの来日公演時にぼくも感銘を受けたが、ここでのロジャ
ーのサポートも心が籠った清々しいものであり、いかに彼らが
ロジャーやスワンプ・ミュージックを愛しているかを感じるこ
とが出来る。とくにザ・バンドでお馴染みの「ゲット・アップ
・ジェイク」やジェシ・エド・ディヴィスのヴァージョンが細
胞のように染み込んでいる「ロックンロール・ジプシーズ」が
奏でられる頃には涙腺がウルウルしてしまった。当時会場にい
らっしゃった方々なら、なおさらに違いない。ちなみにラリー
パパの演奏を気に入ったロジャーは、こんなエピソードを語っ
ている「彼らはまるで私の息子たちのようだ。ラリーパパを連
れてアメリカに帰りたい」

悲しくもロジャーの死去によって、その夢は永遠に果たされな
い約束、傷だらけの片道切符、架けられることのない橋になっ
てしまった。しかし、それでもこの『ロジャー・ティリソンwi
thラリーパパ』が今秋(9/25)リリースされる運びになったこと
を喜びたい。ぼくたちは大きな存在を失ってしまった。それで
もロジャーの音楽は、暮らす土地や人種の違いを軽く飛び越え
ながら今日も胸を焦がしていく。それがタルサのジューク・ジ
ョイントであれ、梅田の呑み屋であれ。そしてラリーパパたち
は、今日も夢の跡地を追いかけてゆく。それが証拠に彼らの全
国ツアーはこの10月から始まる。

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by obinborn | 2016-08-19 17:48 | one day i walk | Comments(0)  

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