追悼:平野実さん(江古田クラン・レコード)

今日は悲しいお知らせをしなければなりません。長年に亘って
テックス・メックス音楽の紹介に尽力されてきたクラン・レコ
ードの平野実さんが死去されました。正確には15年2月のこと
だったらしいですが、親族の方々の控えめな御意向もあり、私
たち一般に知らされたのは昨日から今日にかけて。約一年半が
経ってからのことでした。

彼は80〜90年代を通して、東京は練馬区の江古田にある自分の
お店クランを媒介に、フラーコ・ヒメネス、ロス・ロボス、ブ
レイヴ・コンボ、スティーヴ・ジョーダンなど、日本ではまだ
知られていなかったテックス・メックスのレコードをいち早く
輸入し、やがてクラン・レーベルを立ち上げました。配給網を
Pヴァイン・スペシャルに委ね、日本語の解説と帯を付けたそ
れらの盤を各地の店頭で見かけた方も少なくないと思われます。
個人的な思い出を少しばかり語らせてください。私は江古田で
学生時代を過ごしていたせいで、1978〜79年頃からまだレコー
ド店になる以前の喫茶『CLAN』に通っていました。当時はそ
の頃人気だったシンガー・ソングライター〜スワンプ・ロック
をメインにした小さなお店でした。今でもよく覚えています。
私が最初に同店を訪れた時、掛けてくれたジェシ・ウィンチェ
スターのファースト・アルバムのことを。

平野さんは無骨で気取らない方でした。淡々としているという
か、世間一般の俗っぽさをちょっと斜に構えながら眺めておら
れる。そんな諦観のようなものに学生だった私はそっと憧れま
した。直情タイプの私とは違う人物像ゆえに、大人になったら
こうなりたいものだ、とカウンター越しに密かに思いました。
彼の店だけではなく、時に呑み屋で語り合いました。終電がな
くなってしまい、彼を私のアパートに泊めながら翌朝出勤した
社会人成り始めの頃などが、とても懐かしく思い出されます。

平野さんと最後にお会いしたのは、2014年に開催されたテッ
クス・メックスの祭典『SQUEEZEBOX NIGHT』、その会場
である目黒のリトル・テキサスにて。この時も俗世間からは
離れたような彼の佇まいが印象に残っています。確か最後の
会話はこのようなものだったと記憶しています。「小尾くん、
最近オレはクリームの2枚組を聞いているよ。カッコイイよ
ね。江古田ヤーマンの塩ラーメンはすごく美味しい。今度食
べてみるといいよ」

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by obinborn | 2016-10-07 19:14 | one day i walk | Comments(0)  

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