10月8日の中井大介

8日は武蔵小山のアゲインにて中井大介のレコ発ライブを。第
2作となる『SOMEWHERE』を携えて京都からやって来たこ
の青年は、幾分衒いの表情を見せながらも、堂々と彼ならでは
ソングライティングと歌とギターで満員となった会場の空気を
じわじわ満たしていった。何一つ偉ぶらず、結論を急がず、た
だひたすら感じたままをスケッチしていく。そこには町のざわ
めきがあり、寂れた漁港を一人見つめる視線があり、夜明けま
で回り続けるミラーボールとともに踊っていたいという無邪気
な心がある。これらの歌詞はどこまでも散文的ではあるけれど
も、聞き手それぞれが自由に解釈出来る余白を残す。優れた楽
曲、雨風に晒されながらもじっと芽を出す季節を待っているよ
うな歌とは、きっとそのようなものではないだろうか。

彼のファミリーであるパイレーツ・カヌーから岩城一彦(g)、
谷口潤(b)、吉岡孝(ds)が、しっかりと中井の歌世界を守
護しながら飛翔させていく。打ち上げの会場では冗談しか言
わなかった彼らだが、ステージでの綿密なバンド・アンサン
ブルに、パイレーツが試行錯誤しながらも歩んできた歳月を
思わずにはいられない。音色にまで気を配ったリゾネイター、
寡黙に底辺を支えるべース、ソウル音楽の16ビートをしなや
かに叩き出していくドラムス。それらが中井の宛先のない手
紙のような歌を補完する。そう、花に水が必要なように。限
りなく続く砂漠の道を潤すように。そして後方でコーラスす
る河野沙羅と、この日の特別ゲストだった木下弦二が、歌の
行き先を見守っている。

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by obinborn | 2016-10-09 06:25 | one day i walk | Comments(0)  

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