語る言葉〜words

昨日久し振りに宮本望くんとお会いしました。彼は90年代後半
頃音楽ライターとしてバリバリ売り出し、私もその才能を高く
評価していたのですが、業界の慣習に嫌気が差したのか、本業
であったレコード・バイヤーとして再出発し、今はしっかりと
その道で食べています。そんな彼の健在を確認出来て嬉しかっ
です。宮本くんは音楽に限らず人の価値観や社会に関してもは
っきり好き・嫌いを言うタイプなので、初めて出会う方はやや
面食らうかもしれませんが、私は彼のそんな部分がむしろ好き
ですね。きっとオブラートに包むのではない直言の数々の彼方
に、壊れやすいナイーブの塊のようなものが見える(見えてし
まう)からかもれません。

宮本くんと私の共通する部分は、例えば音楽評論家の山名昇氏
を最大限にリスペクトしていることかもしれません。山名さん
もまた好き嫌いをはっきり言う、確かな審美眼を持った大先輩
です。私などは山名さんに憧れて文章を書き始め、出版社に売
り込み、今もなんとか細々と暮らしているくらい(笑)それは
ともかく、何でも誉め囃す自称音楽ライター・評論家連中が偉
そうにのさばっているなか、宮本くんが何らかの形で傷付いた
ことは容易に想像出来ます。彼ほど明確に違和を唱えられなか
った私でも、せめて自分に相応しくない、好きではない音楽の
原稿はすべてお断りする矜持は持ち合わせているのでした。

いやあ〜、懐かしかったよ、宮本くん。互いに確認し合ったの
は「とにかく徹底的に聞き込む」「文章はそれからでいい」こ
の2点!いやマジ、サムシング・エルズが沸き上がってくるま
で言葉を待つ、他人の書いた記事の上塗りのような原稿は書く
まい、といった謙虚さは絶対に必要だよね。私は少なくとも、
自分がどういう物事に心を寄せるのか、どういう態度が嫌いな
のかを峻別したいと思っています。自分がともすれば忘れがち
な感情のかけら。断片。言葉にならない想い。それを宮本望く
んが思い起こさせてくれました。事実70年にアトランティック
・レーベルから発売されたラウドン・ウェインライト3世のデ
ビュー作について、私は未だ語る言葉が見つかっていないので
した。こんなに素晴しいシンガー・ソングライターなのに。

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by obinborn | 2016-10-10 17:40 | one day i walk | Comments(0)  

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