追悼:モーズ・アリソン〜TELL ME SOMETHING

今年も様々な音楽家が亡くなった。世紀の変わり目というのは
このように10数年経ってから初めて意識されるものなのかもし
れない。それは親しかった者の不在が、慌ただしく興奮状態の
葬儀前後ではなく、半年くらいしてからやっと突然実感される
のと似ている。20世紀を彩った多くの偶像たちの退場。何だか
寂しいね。

モーズ・アリソンは50~60年代にプレステッジ、コロンビア、
アトランティックなどに結構な量のレコードを残しているけれ
ど、本人も参加したトリビュートに近いアルバムとしては、96
年に発売された『TELL ME SOMETHING:THE SONGS OF MO
SE ALLISON』をお薦めしたい。ヴァン・モリソン、ジョージィ
・フェイム、ベン・シドランと”大人の粋”を知り尽くした三人
が、大先輩であるモーズの歌を歌い、敬意を込めたナイスな作
品だ。

むろんモーズがこだわったスモール・コンボによる無駄のない
シンプルな演奏が用意され、幾多のモーズ・ソングスが最高の
形で再提示されるといった塩梅。彼の歌(その多くはぼやき節
やほろ苦い人生訓話)がザ・フー、カクタス、ボニー・レイッ
ト、ザ・ルーモアなど数多くのロック音楽家によって広まった
ことも忘れられない。この『TELL ME SOMETHING』では、
ポール・バターフィールドもベターデイズ時代に取り上げたIF
YOU LIVEが最もお馴染みだろうか?軽妙洒脱で足回りのいい
シャッフル・ビートのなか、ベン・シドランが憂いのヴォーカ
ルを、ジョージィ・フェイムが腹八分目のハモンド・オルガン
を弾く会心の演奏だ。さぞかし作者モーズはご満悦だったろう。

青年時代にはよく解らなかったモーズ・アリソンの良さが、今
では五臓六腑に染み亘る。やっとのことだ。ぼくの経験も人生
もまだまだだね、ミスター・モーズ。享年89歳。いままであり
がとうございました。

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by obinborn | 2016-11-16 13:09 | blues with me | Comments(0)  

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