11月19日の東京ローカル・ホンク
JIROKICHIにて。7月16日に彼らを同会場で観て以来四ヶ月ぶ
りの対面となったが、弾力ある演奏と歌心に今回もたっぷり3
時間酔った。ロック・カルテットとして各自が持てる限りの力
を出しながら、木下弦二のソングライティングを膨らませてい
く。まるで一番いい時のザ・バンドを体験しているみたい。
「ロンドンがスウィングしていたと言われてもぼくには解りま
せん。キース・リチャーズがダニエルズをラッパ呑みするよう
な世界がロックだとも思わなくなりました。それよりぼくはど
うして自分が生まれ育った戸越銀座から見える景色を歌に出来
ないんだろう?そんなことでずっと悩んでいました」以前弦二
はそんなことを私に語ってくれたのだが、その答えがまさに今
現在の彼らの逞しい姿に他ならない。
地に足を着けた日本語が綺麗に響き渡る。そこには昨今のJ・P
OPのようなヴォーカル・ピッチの不自然な補正や、ただせわし
ないだけのファストなBPMなど一切ない。自分たちの町(彼ら
の場合は品川や太田区)から歌を育み、膨らみのある演奏のた
めに修練を重ねる。思えば彼らのキャリア20数年はその一点の
ために注がれてきた。何とまっすぐで困難を伴う道のりだった
ことだろう。
まだスタジオ・レコーディングされていない「身も蓋もない」
や「ダーク・マター」といったシリアスな楽曲が、息苦しい今
という時代を映し出す。その一方で初期の「お手紙」や「遠い
願い」を演目に加えることで、ホンクメンは自分たちがかつて
青年だったことを確かめてゆく。そんな現在と過去とが互いに
交差する得難いライブだった。
by obinborn | 2016-11-20 01:06 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)