ボブ・ディラン「まるで女のように」

あれは確か『新譜ジャーナル』もしくは『ヤング・ギター』に
掲載された記事だったと記憶する。シンガー・ソングライター
の西岡恭蔵さんが、ディランの「女の如く」について書かれて
いたことを思い起こす。この曲は平たく言えば女性にフラれた
男の追想歌なのだが、恭蔵さんが「もし今度きみに会ったなら、
ただの友だちなんだね」と訳されていたことに衝撃を覚えた。
さらに元の歌詞を辿っていけば、「きみはまるで大人のように
振る舞う。でもまるで小さな女の子のように崩れてしまうじゃ
ないか」とある。それも刺激的な一節だった。

いずれにしても筆者がまだ中学生だった71~73年の頃のことだ。
むろん恋愛など未体験で、たまに見るテレビ・ドラマや、その
頃から読み始めたヘルマン・ヘッセの小説で夢想する遠い世界
に過ぎなかったけれど、背伸びしたい気持と相俟ってぼくはボ
ブ・ディランの「女の如く~Just Like A Woman」を次第に好き
になった。教室の後方にある黒板に原歌詞を殴り書きするほどの
影響を受けた。今でもよく覚えている。それを見た英語教師の北
村先生はこう言った「誤字だらけ。文法も間違い。でも何となく
伝わるものはあるわ」

毎年冬になると無性に『ブロンド・オン・ブロンド』を聞きたく
なる。「女の如く」を奏でるウェイン・モスのナイロン弦や、ケ
ニー・バトレイーが叩く心臓のようなドラムスに耳を傾けたくな
る。まったく進歩していない自分を嗤いたくなることもしばしば
だ。それでもぼくは「きみのリボンはすっかりほどけてしまった」
と歌うディランに今も心奪われている。「ぼくは土砂降りの町に
いる。もうここには居られない。残酷なまでに」と声を詰まらせ
るジンジャーマンの背中を見つめている。

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by obinborn | 2016-11-28 18:08 | one day i walk | Comments(0)  

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