小池真理子『望みは何と訊かれたら』

小池真理子『望みは何と訊かれたら』(07年)を再読。
あの忌まわしい連合赤軍事件をモチーフにしながら学園
闘争の時代を検証している。高邁な思想が平気で他者を
傷付け、排除し、自己目的化していった顛末をリアルに
描き切っている。こればかりは70年代の序盤に学生だっ
た作者にとって避けては通れない主題なのだろう。事実、
小池さんの小説はこのテーマを扱ったものが多い(直木
賞に輝いた96年作『恋』はその最たるもの)

裏テーマはこれまた作者が得意とする男女の秘めやかな
関係であり、そうした個人的な事項と集団が暴走した時
の怖さを対にした小説の構成は流石だと認めざるを得な
い。ところで、学園闘争の反省も虚しく90年代半ばには
オウム真理教が世間を震撼させる。その事件を今なお生
々しく記憶されている方々は少なくないだろう。

時代の雰囲気。もっともらしい主張。それらに吞み込ま
ていった若者たち。それらを思い返すたびに私はその場
から離れたくなる。加齢とともに遠近法で学園闘争の季
節を振り返りながら、私はこう思うのであった。「もう
まっぴらだ。誰かのスローガンに従う下部になるなんて」

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by obinborn | 2016-12-25 18:36 | 文学 | Comments(0)  

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