2017年の挨拶に代えて〜そしてきみの鳥は歌う

今朝の『耕論』に載った作家・川上弘美さんの語りは
印象的でした。すごく大まかにそれを集約すると、人
類は古代の叡智を大切に守りながらも、その一方で進
歩しようとする欲望を抑え切れない。現に原子力を作
り、近年では人工知能(A1)の研究が進められている。
いわば人間が科学技術の進化とともに、人として制御
出来ない領域にまで踏み込んでしまったことのパラド
ックスが語られていました。

もう少し私たちの身近な生活を顧みても、いい大学に
入って、いい会社に就職し、終身雇用で保障されると
いった昭和時代の規範的な生き方はとうに崩壊してい
ます。結婚ですら最終的な選択肢と考える若者は少な
くなりました。何しろ日本に於ける労働人口の三分の
一が非正規雇用ですからね。自分の将来も見渡せない
のに、とても子供なんか育てられないというのは偽ら
ざる実感でしょう。

これから先どんな未来が待っているのかは誰にも判り
ません。再び大地震がやってくるかもしれない。ニュ
ーイヤーズのイスタンブールで悲劇的な事件が起きた
ように、渋谷や銀座の歓楽街でいつ同じようなそれに
見舞われるかも判らない。そうしたモヤモヤばかりが
まるで曇り空のように立ち現れ、続いていきます。

それでも川上さんはこう提唱します「生まれ育った土
地で喜怒哀楽を素直にあらわしながら、普通に生活が
出来るという、本当にささやかな幸せ」を求めていく
ことを。ぼくが日々考えているのもまさにそういうこ
とです。音楽に疲れたら書物を読んでみる。SNSサー
ヴィスの情報過多に疲弊したら、自分の町を散歩して
みる。そうすることで保たれる心の均衡を愛おしく思
っています。

鳥は今日も歌います。昨日までと同じように歌ってい
ます。

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by obinborn | 2017-01-01 13:26 | one day i walk | Comments(0)  

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