ロンサム・ストリングス『Soundtrack』を聞いて

ロンサム・ストリングスの最新作『Soundtrack』を聞き
ました。前作のアンソロジー2枚組はウッド・ベースを
映し出したジャケットが物語るように、急逝した松永孝
義さんを追悼すべく企画されたものでしたが、その後セ
ッション・マンとして多方面で活躍される千ヶ崎学さん
が正式メンバーとなりました。そんな新たなロンサムに
よる初めてのスタジオ・レコーディングが本作です。

アルバム表題として掲げられたように、今回はサウンド
トラック集からボブ・ディランの『ビリー・ザ・キッド』
ピンク・フロイドやグレイトフル・デッドが参加した『
砂丘』ちょっとマニアックなところではジョン・サイモ
ンの『ラスト・サマー』などに収録されたナンバーを、
ストリング・カルテットならではのアレンジで再提示し
ていきます。その音粒たちによるイメージの自由な飛躍
を隅々まで堪能出来ます。

深いリヴァーブを湛えた桜井芳樹さんのエレクトリック・
ギター、音響派とも渡り合う田村玄一さんのペダル・ステ
ィール・ギター、ブルーグラス特有の臭みから抜け出した
原さとしさんのバンジョー、そして千ヶ崎学さんの古代の
洞窟を探訪していくような思慮深いウッド・ベースが重な
っていきます。たった四人によるインストゥルメンタルの
演奏ですが、余白を残したサウンドスケープの幽玄的な響
きに心奪われるのでした。

斯界でもトップ・レベルの技術を持ち、後進たちから慕わ
れている四人が、持てるテクと想像力を駆使したこの『
Soundtruck』には、音楽する心が満ち溢れています。そう、
まるで架空の大河ドラマを観ているような錯覚に陥ります
し、8ミリ・フィルムの映写機で上映されるモノクロ映画
のような秘めやかさも持ち合わせています。引用されたマ
テリアルの数々を再現するのではなく、ロンサム・ストリ
ングスならではの解釈で大胆かつ繊細に提示する。そこに
ワビやサビといった日本人の感性を感じてしまうのは私だ
けでしょうか?

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by obinborn | 2017-01-01 18:37 | one day i walk | Comments(0)  

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