ローリング・ストーンズ〜先鋭と大衆性

最初のGOT LIVE IF YOU WANT ITが人気にあやかった疑似ライ
ブだとしたら、グリン・ジョンズをプロデューサーに据えた『
GET YA YA YAS OUT』はもっと自覚的なライブ・アルバムだと
言えるだろう。新加入したばかりのミック・テイラーの凄さを
見せつけ、時代考証としてはオルタモントの悲劇を想起させる。
そんな意味でもこのアルバムに特別な感情を抱くファンは少な
くないのでは?

本作は1969年の11月27日と28日に行われたN.Y公演の2日間
(昼夜計4回のステージ)から抜粋された作品であり、今であれ
ばB.B.キングとアイク&ティナ・ターナーがオープニング・アク
トを飾った完全版がリリースされている。黒人音楽と共振したス
トーンズという意味でも聞いておきたい。そしてチャック・ベリ
ーの「CAROL」と「LITTLE QUEENE」が原曲より遥かにスロー
ダウンされ、粘っこいビートとともに新解釈されている点に、当
時トレンドになりつつあったスワンプ・ロックの萌芽を感じる。
実際この69年に彼らはアラバマ州マスル・ショールズを訪れ、
「BROWN SUGAR」「WILD HORSES」フレッド・マクドゥエ
ルの「YOU GOTTA MOVE」の3曲をレコーディングしている。

米公民権運動の盛り上がりとパリ革命の時代を横目で睨みつつ、
「俺ら貧しいロンドンっ子は、ロックンロール・バンドで歌う
だけなのさ」と「STREET FIGHTING MAN」で俯瞰したミック
・ジャガーに驚愕する。その一方には酒場に集まる人々の心情
に寄り添った「HONKY TONK WOMEN」がある。いわば新進
の気勢と大衆的な娯楽との止揚(アウフヘーベン)をストーン
ズはまさに実践したのだった。

英作家ニック・ホーンズビーの自伝的な小説『ハイ・フィデリテ            ィ』には、こんな一節がある「ねえ、あなたが付き合ってい
るのは、BROWN SUGARに合わせて”フ~フ~!”なんて拳を
振り上げ騒いでいる愚かな人たちなのよ」そんなガール・フレ
ンドを、主人公はこう宥める「いいかいダーリン、ぼくはもう
そんな時期をとっくにやり過ごしたんだよ。ぼくはストーンズ
が愛おしい。最新のダンスには付いていけないけど、マーヴィ
ン・ゲイのWHAT'S GOING ONを聞いて今も感動する。もっと
素直にならないかい?」

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by obinborn | 2017-01-06 17:37 | rock'n roll | Comments(0)  

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