サム・クックと冬の歌

大好きなサム・クックの『ハーレム・スクエア・ライブ』を
聞いています。自分にとってはマーヴィン・ゲイとダニー・
ハサウェイとアリーサ・フランクリンとオーティス・レディ
ングそれぞれのライブ・アルバムと同じくらい恒久の輝きを
放っている名盤です。

とにかく聴衆とのコール&レスポンスや演奏の臨場感が半端
なく凄く、サムのよく伸びるハイトーン・ヴォイスとキング・
カーティス楽団との緊密な連携には、本当に感動させられま   
す。1963年1月12日にフロリダ州マイアミにある黒人向けの
クラブで収録された『ハーレム』ですが、実は長い歳月の間
黙殺され続けた挙げ句、やっと陽の目を見てRCAレコーズか
ら正式にリリースされたのは、1985年になってからのことで
した。

63年の社会情勢を振り返ってみましょう。アメリカに限って
みても、公民権のための運動はまだ志半ばでした。それどこ
ろか実際にはもっとひどい差別が平然と行われていた時代で
す。私がドニー・フリッツに直接尋ねた時、彼はこう言って
いました「俺はアーサー・アレクサンダーと二人で南部一帯
をツアーした。よく言われたよ”何で黒ん坊なんかと一緒にい
るんだい?”と。俺はそいつに言ってやったよ”一緒に音楽を
やりたいだけさ!”とね」

今再び、トランプ新大統領の出現によって、アメリカ社会は
混乱の時を迎えてしまいました。海の彼方の人ごとではあり
ません。本来ならば仲良き隣人のはずの日本人と韓国人との
関係が、靖国神社や慰安婦の問題で再び冷え込んでしまいま
した。私たちは今まで一体何を学んできたのでしょうか?

サムは「NOTHING CAN CHANGE THIS LOVE」のなかでこ
う歌っています「きみの瞳の彼方にはアップル・パイが見え
るよ。シェリー・パイのよう。アイス・クリームのよう。ぼ
くは意味なくきみに降参してしまうよ」単なるラブソングが
いつしか人種の壁を超えながら伝わってきます。それがサム・
クックの無垢な声で歌われます。聞き手であるぼくたちはい
つの間にか、サム・クックの歌に夢中になっています。

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by obinborn | 2017-01-13 21:43 | Comments(0)  

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