真冬のカーレン・ダルトン

今日は寒かったのでカーレン・ダルトン。言わずと知れた
ウッドストックならでは手作りの質感と幽玄的なヴォーカ
ルの取り合わせが頂点に達している。30歳ちょっと過ぎの
カーレンがまるで達観した老女のように歌っている。湿性
フォークの先駆として今なお語り継がれているのは、そん
なミステリアスな存在感ゆえだろう。とくにザ・バンドの
IN A STATIONが秀逸。ジョージ・ジョーンズのカントリー
TAKE MEからマーヴィン・ゲイのR&B曲HOW SWEEET
IT ISまでの広角な選曲、2つのバンジョー・チューンの枯
れすすきのような味わいも格別で、SAME OLD MANでは
ホーリー・モーダル・ラウンダーズのスティーヴ・ウェバ
ーがアレンジを担当している。またアルバムの随所で印象
的なヴァイオリンを弾くボビー・ノコトフは、ザ・ロケッ
ツ〜初期クレイジー・ホースの作品でもおなじみだ。

ちなみに本作にフレッド・ニールはこんな讃辞を寄せてい
る「カーレンは60年代初期に私が自分のスタイルを模索す
る最中で最も影響を受けた重要なシンガーです。ある夜私
は彼女をヴィレッジのクック・アンド・ブル(のちのビタ
ー・エンド)に連れていきました。カーレンは私のBLUES
ON THE CEILINGを歌ったのですが、あまりにも感情を込
めて歌ったので、作者の私でさえその曲を作ったのは彼女
ではないか?と思うほどでした」

フレッド・ニールが言うように「他人の曲を自分の歌のよ
うに歌う」点に、カーレンの美点が凝縮している。そんな
彼女に引き寄せられるように、プロデューサーのハーヴェ
イ・ブロックス(エレクトリック・フラッグ〜ファビュラ
ス・ラインストーンズ)が貢献した。エイモス・ギャレッ
ト、ポール・バタフィールド、ジョン・ホール、ジョン・
サイモン、リチャード・ベル、ビル・キースetc...といった
ニューヨーク〜ウッドストック・エリアの演奏家たちが脇
を固めた。カーレン・ダルトンの『IN MY OWN TIME』は
そんな時代のモニュメントであり、その輝きが失われるこ
とはないだろう。

ジョン・ホールは言う「カーレンの歌に合わせてギターを
弾くのは大変だった。彼女のヴォーカルは限りなく飛翔し、
どこに着地するか予想出来ない種類のものだったからね」
フレッド・ニールの讃辞とともに、ジョン・ホールによる
回想(聞き手は筆者・99年)もまた、カーレンの歌唱を上
手く捉えていた。

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by obinborn | 2017-01-21 02:03 | blues with me | Comments(0)  

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