ヴァン・モリソン『KEEP IT SIMPLE』

ヴァン・モリソンの近作では『KEEP IT SIMPLE』(08年)も
いいですね。9年前のアルバムを”近作”と呼ぶかどうかはとも
かく、自分の感覚ではつい最近のことのような気がする。この
盤以降モリソンは『アストラス・ウィークス再現ライブ』『B
ORN TO SING』『DUETS:RE〜』そして昨年の大傑作『KEE
P ME SINGING』をリリースしていく。とかくベテラン勢は10
数年ぶりの新作といった間隔になりがちだが、モリソンの場合
はずっと快調にキャリアを進めてきたことが解る。

内容は完全にオリジナルの新曲集といった塩梅だ。ロニー・ド
ネガンとのスキッフル・ライブやカントリー大会の『YOU WI
N AGAIN』と『PAY THE DEVIL』ですっかりルーツに立ち戻っ
たモリソンが、シンプルなコンボ編成で自分の歌に取り組んで
いる。ジョン・プラタニア(g)デヴィッド・ヘイズ(b)といっ
た70年代初期からモリソンを支えてきた最古参のメンバーもい
れば、ミック・グリーン(ジョニー・キッド&パイレーツ〜パ
イレーツのg)やゲラント・ワトキンス(デイヴ・エドモンズ〜
ニック・ロウ〜バラム・アリゲイターズのkbd)と、パブ・ロッ
ク界隈のキー・パーソンもいる。以前から少しずつモリソンが
切り開いてきたカレドニアソウルと大衆路線の融合かな。あま
り語られないのが残念だが、かつての名盤『INTO THE MUSIC』
で大活躍した女性ヴォーカリスト、ケティ・キッスーンも久し
ぶりに参加し、過日と変わらぬ瑞々しい歌唱を披露している。

なおアナログ盤のみD面に、08年の1月にブラックプール・オペ
ラ劇場で行われたライヴから3曲が収録されている。とくに名
曲AND THE HEALING HAS BEGUNが、かつてほど重くなく、
ペダル・スティールの楚々とともに響き渡る様は格別!そう、
前述した79年の名作『INTO THE MUSIC』で親しまれた曲だ。
そのスタジオ・アルバムで起用されていたケティが、歳月を経
てここでもモリソンとともに歌っている。音楽を聞いていて心
温まるのはこんな時だ。以前『バック・コーラスの歌姫たち』
という裏役シンガーにスポットを当てた映画があったけれど、
ケティ・キッスーンもまた素晴しい!

e0199046_241568.jpg

[PR]

by obinborn | 2017-01-25 02:06 | one day i walk | Comments(0)  

<< 追悼:ブッチ・トラックス アイズリー・ブラザーズ『ライヴ... >>