編集者と私


Kさんは07年から08年にかけて私の書籍を担当してくださった
編集者です。具体的には増補改訂版の『Songs』を手始めに、
『U.S Records』『U.K Records』と計3冊の作業に関わって
頂きました。私が掘っている音楽のことを殆ど知らない方(
そりゃそうですよね)でしたが、どこまでも一生懸命に、とき
に私の文章の誤りを優しく指摘する、ありがたい存在でした。

時を経て、ある日自由が丘にあるバードソング・カフェで久し
ぶりに彼女と再会しました。何でも今現在は出版業界から足を
洗い、別の職業に就いているとのこと。私もフリータイムの音
楽ライターとして将来を案じ、まったく異なる職場を見つけま
した。そこには時間という名の堆積があったように思います。
Kさんとはバードソング・カフェが移転する以前、まだ中目黒
にお店があった頃から、よくミーティングを重ねました。向こ
うがどう思っていたのかは解りませんが、夏目漱石の話をした
り、「私は海外旅行なんかに興味はありません。小説を読む時
間を大事にしたい」と言っていたことは今でもよく覚えていま
す。

二時間ほどお酒を飲み会話をした後、私は一足先に店を出まし
た。Kさんはバー・カウンター席を離れ、地下から階段を登っ
てきてくれました。それだけではありません。別れの挨拶をし
てからふと振り返ってみると、彼女はまだそこに立ったまま、
私に手を振っていました。


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by obinborn | 2017-01-28 01:21 | one day i walk | Comments(0)  

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