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佐野元春のスポークン・ワーズ〜「In Motion 2017〜変容」を聞いて

4日は佐野元春のスポークンワーズを渋谷の0-EASTにて。彼が
ポップ・フィールドと平行して詩の朗読を実践してきたことは
よく知られているが、この日も井上鑑率いるファウンデーショ
ンズのフリーフォームな演奏と合体しながら見事なリーディン
グを繰り広げた。とくに金子飛鳥のアグレッシヴなアンプリフ
ァイド・ヴァイオリンが圧巻で、地を這うようなドラム&ベー
スの強靭なビートとともに、陰影に富んだ世界を作り出してい
った。

散文詩のように溢れ出す佐野のワードの数々は難解かもしれな
い。しかし一字一句に意味を求めるのではなく、言葉が連なっ
ていくイメージを繰り出される音とともに自由に広げていけば
正解だと思う。宮台真司風に言えば「求めるな、感じろ!」だ
ろうか。またとかく通常のソングライティングと分けて語られ
がちな佐野の”話す言葉”だが、「ブルーの見解」や「ぼくに出
来ることは」あるいは「Shame〜君を汚したのは誰」など過去
のポップ文脈の再提示も少なくない。そんな佐野が掲げる一貫
したテーマは黄昏れていく文明であり、都市と個人との関わり
であり、消耗してしまいがちな魂のありかのことだ。

ビート文学の昔から脈々と培われてきた「動き出す言葉たち」
その伝統のなかに佐野元春がいる。そんなことを痛感せずには
いられない夜だった。


佐野元春のスポークン・ワーズ〜「In Motion 2017〜変容」を聞いて_e0199046_21550065.jpg



by obinborn | 2017-04-04 21:57 | one day i walk | Comments(0)  

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