東京砂漠〜ある家族の肖像
近所に金持ちの三世帯家族がいた。大きな邸宅に住み優雅な
暮らしぶりが伺えたのだが、先月のある日突如空き家になり、
今もまだ買い手が付いていない。会社が破綻して抵当に入れ
られたとか浪費が祟ったとか、周囲では様々な噂が流れたが、
本当のところはどうだったのだろう。企業と言えば以前私が
勤めていた会社も今年2月自己破産を東京地裁に申し立てて
おり、人生の明暗を考えされられた。90年代にインターネッ
トが普及してからはや30年近く。この間にいわゆる企業のビ
ジネス・モデルはすっかり様変わりした。老舗の商いが立ち
往かなくなり、IT産業が台頭し、町の商店街はすっかり朽ち
果てた。私の地元である江古田の町にもかつての面影はない。
しかし私のことを「辞めたら今の生活レベルは維持出来んぞ」
と、ちょうど10年まえに脅した人事担当者が恐らく現在右往
左往している様を想像するのはシュールだな。つい皮肉を言
ってみたくもなる。結局自分の人生をトータルに見渡すのは
大変だね、ということなのだろう。そういう意味では毎日毎
日が選択の連続だと思う。この道を左に曲がるか右に曲がる
かといった判断の難しさ。それは多くの経営者が日々抱える
悩みでもあろう。訓話もなければ教訓もない。未だに癒えな
い古傷だけが生々しく残った。
by obinborn | 2017-05-18 10:36 | one day i walk | Comments(0)