音楽にとって幸せな文章って何だろう?

マディ・ウォーターズの11枚組LP『THE CHESS BOX』が
発売されたのは1985年のことだった。日ヴィクター社以来
久し振りにチェス・レーベルと契約したPヴァインは、当時
毎月チェスの作品を飛ぶ鳥を落とすかの如くリリースしまく
っていた。それは弱小インディ会社として75年に始まったP
社がちょうど10年後に成し得た快挙だった。個人的には学生
時代を終え社会人になった時期と重なったので、サラリーを
貰えることが嬉しく、給料日には最低でも5枚くらいは購入
していたっけ。それらの日々は今なお私の財産だ。

こうして久し振りにマディのボックスを聞いていると、様々
なことを思い起こす。音源もさることながら、添えられたブ
ックレットがものすごく丁寧だった。日暮泰文氏によるイマ
ジネィティブなマディ論に始まり、鈴木啓志氏の「ミシシッ
ピ・デルタの泥水がシカゴへ流れ込んだ」がそれに続いた。
さらにマディを巡るイラストも楽しい人脈図があり、吾妻光
良氏が愛情を込めた「あの大きな笑顔を忘れない」のエッセ
イが控えていた。それらの頁をめくっていくのが大好きだっ
た。

「音楽を聴くことと同じように、ぼくは音楽について書かれ
た文章を読むのが好きです」私が尊敬する同業の先輩は簡潔

にそう言い含める。そう、私たちは音楽それ自体を愛するの

と同じように、書かれた文章を読むのが大好きだった。


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by obinborn | 2017-05-24 17:24 | blues with me | Comments(0)  

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