架空小説『レコ屋太郎の物語』その2

午前中の仕事はほぼ順調に終了しました。プライスカード
に店頭価格のスタンプを押しまくる流れ作業です。これで
まず150枚の値付けが出来ました!それらを新たに店頭出し
していくのがぼく(レコ太郎)の役割です。でも、その間
に来店されたお客さんはたった三人。近所のよく来てくれ
るおじさん、勘違いして入ってきたヒップホップ風ジャー
ジー姿の若者、そして東京ガスのメーター検針のおばさん
が「ねえ?聖子ちゃんの『風立ちぬ』ある〜?」と尋ねて
きたくらいです。ぼくの趣味とは違うけど、地元の商店街
とうまくやるのが本物のプロでっせ!というのがオビ店長
の持論なので、ちゃんと接客致しました。最初に来たおじ
さんはネッド・ドヒニーの名盤『ハード・キャンディ』を
嬉しそうに買っていかれました。ぼくもいつかあんな温厚
なおじさんになれたらなあ〜。

中古レコ店に昼休みなんかありません。たまに近所のラー
メン屋さんに出前を頼んだり、給料日には贅沢してピザの
大皿をオビさんと一緒に食べることもありますが、今日は
業務をしながらコンビニ弁当を胃に流し込んだだけ。ぼく
もいつかお金持ちのように低カロリーの健康食を食べてみ
たいなあ。とりあえず一服です。近くにあるスタバの従業
員に一番安いコーヒーのデリバリーを頼み、彼が配達をし
てくれたのです。そのコーヒーを飲みつつも、午後に向か
って値付けの作業は続きます。昨日オビ店長が買い取って
きたジョージ・ハリソン『ALL THINGS MUST PASS』の
オーストラリア盤を査定したかったのですが、オビさんに
「けっ!太郎には10年早いわ!」と一蹴されてしまいまし
た。

そんな午後がちょっと過ぎた頃、思いがけないお客さんが
『江古田レコード』の扉を開けて入ってきました。黒のノ
ースリーブに褐色の肌。その鮮やかなコントラストが衝撃
でした。結わいた髪にも思わずゾクゾクしてしまいました。
彼女は開口一番ぼくにこう語りかけたのです。「こんにち
は。太郎さんのことはオビ店長から伺い、隣町の東長崎か
ら来ました。ところで私はブリンズリー・シュウォーツ『
銀の拳銃』のLP盤を探しているんだけど...」その一言をぼ
くはもう無我夢中で伺っていました(続く)


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by obinborn | 2017-05-27 14:22 | one day i walk | Comments(2)  

Commented by tapara at 2017-05-27 21:33 x
オビ店長、こんばんわ。

わくわくどきどき、読んでいます。

レコ太郎、はたして清美さんといい仲になるか?
乞うご期待。

てな塩梅ですね。

ただし、わからないのはその2で撮られた、かなり魅力的な女性。
その2の人が清美さんならはたして2の彼女は??
Commented by obinborn at 2017-05-28 05:47
ありがとうございます。確かに二人の女性は混乱しますね。
まあ妄想の世界ということで(笑)お許しください。

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